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ペットボトルおしっこ

表層だけのイメージで多くの物事を悟った気になることは大きな損失だ。それが間違いだとは言わないが、なんかすごく損をしている、もったいない、と思ってしまう。できれば、深く理解し、感じ、その上で好きか嫌いかを判断して欲しいものだ。

「ペットボトルおしっこ」

読んで字のごとく、ペットボトルにおしっこをする行為である。これを読んだ時点で8割の人、特に女性は、うわ最低、ありえないんですけどー、と嫌悪することだろう。けれどもそれは大きな損失と言う他ない。おしっこはトイレにするものである。その固定概念に囚われてこれを避けて通ることは損失にほかならない。できれば最後まで話を聞いて欲しい。

ペットボトルにおしっこをする、これは反社会的行動だ。それは認める。どんなに言い繕っても超えることができない障壁がそこにある。例えば、ペットボトルおしっこがれっきとしたスポーツで、そこそこ若者に支持されている風に、


皆さんは「ペットボトルおしっこ」という競技をご存知だろうか。

米国を中心に若者の間で楽しまれているエクストリームスポーツの一種で、単純に言ってしまうとペットボトルにおしっこをする美しさを競う競技だ。2015年にはアトランタで全米大会が開催され、まだ中学生のスコット・ノートン君が優勝し、賞金120万ドルを手にしたニュースは日本でもセンセーショナルに報じられた。プロリーグも発足し、2016年にはシアトルで世界大会も実施される予定、2024年オリンピックの種目入りも狙う今一番ホットなスポーツだ。

ペットボトルおしっこの歴史は以外にも古い。その起源には諸説あるが、18世紀初頭のサンドウィッチ伯爵を起源とする説が有力である。後にイギリスの海軍大臣となる伯爵は賭け事がめっぽう好きだった。トランプを使った賭け事に熱中するあまりトイレに行くのも煩わしくなり、机に座ったまま羊の胃袋をなめした袋に用を足したのが始まりと言われている。

その後、受け止める容器は麻袋、革袋、竹筒と様変わりしてきたが、石油化学工業の発達によりPET(ポリエチレンテレフタレート)が発明され、いわゆるペットボトルが飲料の容器として普及すると、瞬く間に全世界へと広がった。それまでは貴族のスポーツとしての印象が強かったが、ペットボトルの導入により広く一般にも広がった。同時に、それまで行為自体が採点対象であったが、ペットボトル導入による容器の透明化(一部着色されていることもある)により、出した後のおしっこの美しさも採点対象となった。

スポーツ大国アメリカにおいて美しさを採点基準としたスポーツは意外に少ない。大衆の関心はもっぱらベースボールにフットボールだ。けれども、昨今では、美的感覚を兼ね備えたスポーツに関心を持つアメリカ国民も多く、ペットボトルおしっこは人気が高まっている。

今日は、若くしてペットボトルおしっこ全米チャンピオンとなり、発足したばかりのプロリーグ、NPOリーグ、サンフランシスコ失禁ズのセンターフォワードとして活躍するスコットノートン君がインタビューに答えてくれた。

日本ラウンドを控えて調整中のところをインタビューに応じていただきありがとうございます。率直に聞きます。日本の印象は?

そうだね。一言でいうとクールかな。オタク、アニメ、フィギュア、クレイジーな素養は十分にある。ペットボトルおしっこをやってる若者は沢山いると感じたね。アキハバラなんかペットボトルおしっこの匂いしかしなかったよ(笑)

今回、はじめて日本ラウンドが開催されるわけですが、日本のファンに伝えたいことは?

ペットボトルおしっこはクールなスポーツだ。それを日本のファンに伝えたい。ダイナミックにおしっこをする躍動と、おしっこをされたペットボトルの美しさを愛でるナイーブな二面性を十分に感じて欲しい。

日本には古来より、「わびさび」といった感覚があります。それいついてはどうお考えですか?

驚異だね。僕も日本のそういった感覚を取り入れている。IKEBANA、SADO、HANAYOMESYUGYO、これらの専属のトレーナーをつけてトレーニングしている。特にペットボトルおしっこのナイーブな部分は日本のIKEBANAに近いからね。そういった素養を生まれながらにして持っている日本人は驚異だしクールだよ。

では、いつかはNPOにも日本の選手が?

そうだね、クレイジーさと繊細さをもつ日本人。きっと数年すればNPOは日本人だらけになってるよ。それでも僕は負けないけどね、ハハハハハハ

最後に日本のファンに一言

TOKYO DOME DE AIMASYO

スコットノートン選手が所属するサンフランシスコ失禁ズとシアトル血尿ズのNPOリーグ24節公式戦が東京ドームで開催される。ペットボトルにおしっこをしたことがある方は一度観戦してみてはいかがだろうか。チケットは各種プレイガイドで絶賛発売中。選手のサイン入り尿瓶がついてくるSS便器サイド席は150,000円(税別)より

 

という捏造記事を書いてみたところで、やはりペットボトルにおしっこなんてサイテーとなるに決まっている。西野カナに「ペットボトルおしっこ」って歌わせても若い女性の共感を得られそうにはない。けれども、どうか全てを聞いて判断して欲しい。

では、なぜ僕がそこまで「ペットボトルおしっこ」に憧れるか。それだけ聞いて欲しい。それを聞いて判断して欲しい。

何度も言うが、ペットボトルにおしっこ、これは最低の行為である。そこは譲れない。おしっこはトイレでするものである。けれども、多くのペットボトラーが何もなく、ただ機械的にペットボトルにおしっこをしているかというとそうではない。皆さんにはその裏側にあるものを見て欲しい。

何も理由がないのに日常的にペットボトルにおしっこをしていたら、これはもう頭のおかしい人である。けれども、多くの人が「おしっこに行く以上に大切なもの」を心に抱えているのだ。その結果としてペットボトルおしっこが生じているに過ぎない。そのことを忘れていはいけない。

では逆に問いたい。いま、あなたの生活でトイレに行く時間すら惜しいほど熱中できるものがあるだろうか。多くの人がないと答えるのではないか。熱中することも好きなことも沢山ある、けれども、トイレに行くのを惜しむほどかと言われれば答えはNOだ。

ペットボトラーたちにはそれがあるのだ。目の間の事象に熱中するあまりトイレに行くのも惜しい、ああ、ここでしちまうか、お、ペットボトルあんじゃん、という流れだ。何も熱中することがないつまらない人生を送っている僕なんかは、そこまで熱中できることに憧れてしまう。

憧れないわよ、ペットボトルにおしっこなんて最低。それでも思うかもしれない。でも最後まで聞いて判断して欲しい。あなたはもうアラサーかという妙齢の女性だと思う。恋をするにも相手の年収だとか職業だとかそういった打算があるはずだ。周りもみんな結婚してフェイスブックにパーティーの様子をあげていく。焦りと打算、どうしても純粋に恋だけをするわけにはいかない。

そんなあなたの目の前にピュアな恋をする中学生が現れたらどうだろうか。彼らは打算なんてない。ただ目の前の相手が好きなのだ。好きという気持ちだけが自分を突き動かし、時には恥ずかしい行動も、馬鹿らしい行動もとるかもしれない。大人になって思い出して枕に顔をうずめるような行動をとるかもしれない。でも、単純に純粋なのだ。

それを見てあなたは思う。私にもそういう時期があったな。純粋な恋。なんの打算もない計算もない恋。もう何年もしてないなあ。中学くらいかな。ふふ、今考えたらおっかしいの、わたしったら。偶然会えることを期待してずっと駅前に立ってた。駅前に好きな男の子が通う塾があったのね。それでずっと立ってたの。偶然を装って会えるかなって。バカだなって思うよ、あの頃の自分、でも、一番楽しかったな。心配なこともたくさんあった、不安なこともたくさんあった、でも未来は輝いてるって漠然と信じてたな。わたし、なにやってるんだろう。今のわたし、なにやってるんだろう。美沙子は不倫関係にある課長にLINEを送った。「もう終わりにします、さようなら」課長は奥さんと別れる気なんてない。薄々感づいていた。もう行事ごとに課長の家庭を想像して落ち込むのは、やめだ。わたし、恋をしよう。二番目でも、不倫でもない、純粋な恋をしよう。打算や計算じゃない、純粋に私の心にだけ従う恋。恋を始めるのに遅すぎるなんてないもん。運ばれてきたカプチーノを一口だけ飲み美沙子は颯爽とカフェを飛び出した。

こんな感じですよ。よくわからんけど。とにかくペットボトルおしっこをするぐらい何かに夢中になってる人ってぜったにかっこいいじゃないですか。ロックじゃないですか。

だから僕は憧れていたんですよ。ペットボトルにおしっこしちゃうほど熱中できる何かがある人に憧れていたんです。それで、僕もやってみたいって思いましてね、いわゆるネットゲームと言われるものをはじめたんですよ。

どうやら、ペットボトルおしっこの主流はネットゲームらしくてですね、いわゆるネットゲーム廃人と呼ばれる人たちの基本スキルにペットボトルおしっこがあるらしいんです。

大勢でオンライン上で楽しむネットゲーム、仲間とパーティーを組んだり、時間指定で湧くボスがいたり、グループ同士で対戦し合うイベントがあったり、ちょっとおしっこ、とパソコンの前を離れにくい状況が多々ある、そんな状況からペットボトルおしっこに手を出す人が多いらしいんですけど、やっぱそういうのすげえロックじゃないですか。すげえかっこいいじゃないですか。

「黙ってろ!いまボスが湧いてんだ!小便してる暇なんてねえ!ペットボトルにするぜ!」

くっそかっこいい。

これが言いたくてですね、僕もネットゲームを始めてみたんです。最初にキャラメイクがあるんですけど、ちょっとこういうキャラメイクでは女の子キャラを作る傾向にありましてね、ものすごくかわいい女キャラを作成してついにネットゲームの世界に降臨しましたよ。

ドキドキとワクワクが入り混じった状態といいましょうか。この世界には、おしっこに行くのも面倒になる楽しいことが待ち受けている。そう思うと心臓が破裂しそうなほどワクワクしました。

チュートリアル的なイベントを終えて、いよいよ最初の街みたいな場所に案内されます。そこには山ほどのプレイヤーがおり、好き好きに会話をしています。ここにいる全員がペットボトルにおしっこ、そうおもうとちょっとおしっこの臭いが漂ってくるような気がするから不思議なものです。

「きみ、初心者?」

いきなり魔道士っぽいキャラの人に話しかけられました。

「はい!いまチュートリアルを終えました」

元気よく答えると、魔道士っぽいキャラの人は、

「こっちにきて」

と物陰に案内してきます。誘導されていった場所は先程とは打って変わり、人気のない閑散とした場所。

「ここならだれもこないから」

「そうですね」

さっそく仲間ができた。この魔道士とボスとか狩りに行って、ペットボトルにおしっこするのか、ワクワクしていると魔道士は言いました。

「装備外して」

なんでだろうと思いつつ、言われたとおり、初期装備である村人の服っぽいものを外すと、僕のキャラはスポーツブラっぽいものに変わります。へー、よくできてんなーでもなんで外させるんだろう、もしかしてすげえ装備くれるのかなとか考えていると魔道士が

「ハァハァ」

とか発言してるんですよ。どうも、かわいい女キャラでスポーツブラになってる僕のキャラクターグラフィックで抜いてるっぽいんですよ。すげえな、ネットゲーム。冷静に考えると、ハァハァと興奮して本物の鼻息が出てるわけじゃなく、キーボードでハァハァとタイプしてるんでしょうけど、一体どんな顔をしてそれを打ち込んでるのか。

なんじゃこりゃって思ったんですけど、これもネットゲームの洗礼と思い、魔道士の

「もっと喘いだりして欲しい」

と言われるままに僕もすげえ真顔でキーボードに「あん、あんっ」とか打ち込んでたんですけど、そこで気づいたんですね、この魔道士、僕を女だと勘違いしてるんだと。

かわいい女キャラで名前もそれっぽいんで、プレイヤーが女であると勘違いしてるっぽいんですよ。で、そのキャラを辱めることで画面の向こうのプレイヤーを辱めてる感じになってるんですよ。

でもいさまら、俺男っすよというのも魔道士に悪い気がするし、すげえ興奮してるっぽいんで、一歩も動くことができずいいたんですけど、そこでついにチャンスが到来したんですよ。そう、おしっこにいきたくなった。でも今は魔道士が僕の体を使って興奮してますから、トイレに行くに行けない、あれをいうチャンス!満を持して言ったんです。

「トイレに行きたいんですけど、ペットボトルにしちゃいますね」

これに魔道士が発奮しましてね。

「ふうおおおおおおおおおおお、ふおおおおおおおおおおおおおお」

と送風機の音みたいな発言を繰り返してました。冒険にくことも、ボスを狩ることもなく、ボクと魔導師はずっと人気のないところで「ペットボトルにおしっこ」「ふおおおおおおおおお」を繰り返してました。

ここまで読んでどうですか。ペットボトルおしっこ、ここまで読んで総合的に判断して欲しい。表層だけじゃなく、ちゃんと全てを考慮して欲しい。

そう、全てを考えた上で、やっぱペットボトルおしっこってクソだわ。おしっこなのにクソだわ。