無人島について本気出して考えてみた

「仕事と恋愛、どっちが大切ですか?」

ブスってやつはこういった類のどうでもいい質問が本当に好きだ。ありない前提を持ち出して誰かの心理を計ろうとする。きっとブスは誰かの心中を推し量ってばかりいるからこうなるのだろう。

「SとM、どちらかでいうとどっち?」

「ここに1億円もらえるボタンがあります。ただし、このボタンを押すと母親が死にます。それでも押す?」

「ねえねえ、自分以外の全員が死ぬのと、自分だけが死ぬの、どっちがいい?」

現実世界でもネット上でもこういった質問をとばしてくるのは、たいていブスだ。こういった質問に丁寧に答えていくと

「どちらかというと俺はMかな。まあお前はBだけどな。ブスのBだ」

「そのボタンは押さないけど、ブスが死ぬボタンなら3万くらい払ってでも押す」

「お前だけが死ぬのがいい」

となるのだけど、こういった誰も得をしない、話題も広がらない質問の最たるものが

「無人島に何か一つだけもっていけるとしたら何を持て行く?」

というものだ。ブスはちょこちょくこいうことを聞いてくる。こんなもん、本気で考える方がどうかしてる。何の生産も発展性もない思考実験だ。こんなものに時間を費やすくらいならゴミ捨て場で仁王立ちしてるババアに手マンでもして今後は燃えるゴミの日に不燃物すら出せる権利を手に入れたほうが随分と生産的だ。

そもそも僕は無人島に行かないし、行くとしても一つだけしかもっていけないという状況は基本的にありえない。行くならアタッシュケースとリュックがパンパンになるほど食料とサバイバルツールも持っていくだろう。それだけでは心もとないのでさいとうたかお先生のサバイバル全巻持っていくし、マンガに出てくる無人島で出会ったお姉さんのポンコツっぷりにイライラもする。食料も手に入れて生活の基盤ができたとしても余暇がないと超絶暇してしまうのでパソコンも持っていく。パソコンだけあってもしかたないので最寄りの港町から海底ケーブルでネット回線も引くし、そうなるとWiiUで対戦もできちゃうわけだからスプラトゥーンだってもっていく。イライラしてコントローラーぶっ壊した時に備えて予備ももっていくし、PS4だってもっていく。テレビだって必要だろうし、ポテトチップスもコーラも必要だ。そうそう、番組を見逃さないためにナスネも必要だね。あまりに快適だからその様子をブログにアップして、今無人島生活が熱い!まだ本土で消耗してるの?みたいな記事を連日書く。広告もつけると思う。そうこうしてるとその記事に触発されて若者がごっそり島にやってくる。僕はそのしゃらくさい若者にも優しくして快適な生活を提供してあげるんだけど、電力が足りなくなってくるので原発も持っていく。そうすると原発利権に群がる連中と反対派もやってきて一気に賑やかになる。どんどん無人島が発展していって怖いくらいになってくるんだけど、若い奴らが僕から受けた恩も忘れて派閥を作り始めて、おっさんは出ていけ!とシュプレヒコールを始める。無人島の国会前でおっさん反対!とラップを始めるかもしれない。僕以外にも何人かいたおっさんたちは排除されて主に政治犯を投獄する収容所に追いやられるんだけど、そこは地獄のような場所なのね。独房なんだけど、大きな声出せば隣の奴らと会話できるんで今の若者はダメだって話するの。たまに看守に怒鳴られるけど、彼らはけっこう大目にみてくれる。そもそもあいつらはインターネットで育ってるから人の心がない、そうだそうだ!ってなる。だいたい俺たちの頃なんてエロ動画をダウンロードなんてできなかったぞ、こそこそと千円札握りしめてな、国道沿いの辺鄙な場所にあるエロ本の自動販売機に買いに行ったもんよ、ってなる。食料の配給も少なくなって死を待つだけの僕たちおっさんたちは次第に思い出の中のエロ本の自動販売機を心の支えに生きるようになる。いつしかそれは心の支えから目標に変わる。ここを出ることができたらみんなでエロ本の自販機経営を使用、何台かの自販機を囲ってこっそり堂とか名前を付けよう、なあ、楽しみだなあ、好きなラインナップのエロ本を入れてな、右下にはオナホ入れよう、ジャージ姿の中学生がキョロキョロしながら買いに来るんだ、おい、安藤、聞いてるか?おい、安藤、返事してくれ!安藤ーーーー!おい看守、安藤が返事しない、見てくれ、どうなってるんだ、おい、安藤!嘘だろ!?安藤----!看守ーーー!その後、発展した無人島は米国に独立戦争を仕掛け空爆され滅ぼされてしまう。米軍によって救助された僕は、安藤が処刑されたことを知る。なあ、あんたたちの上官に頼みがあるんだ。空爆で焦土と化したこの島に安藤の墓を建ててやってくれ。墓石なんて上等なものはいらない。やつの墓の上にエロ本の自動販売機を置いてやってくれ。頼む。米軍の輸送ヘリから島が見えた。海に浮かぶその島はまるで大きな墓標のようだった。

「ということで俺ならエロ本の自動販売機を持っていく。安藤のために」

見てるか、安藤。俺、お前のこと忘れてないからな。絶対に無人島にはエロ本の自動販売機を持っていく。

「仕事と恋愛、どちらが大切ですか?」

 最初の質問に答えようと思う。安藤はエロ本の自販機の管理を仕事にしたかった。でも、終章所で処刑された。仕事したくてもできなかったんだよ。お前に安藤の気持ちがわかるのか!きっと、恋だってしたかったにちがいねえよ。それをお前、お前。よくそんな質問ができるな。安藤の墓の前でできるのか!エロ本の自動販売機の前でできるのか!?俺悔しいよ、安藤、お前と仕事したかった、人工知能を搭載した新しいエロ本自動販売機の開発とかしたかった。お前の恋愛話を茶化したりしたかった。安藤を返してくれよ。安藤、俺悔しいよ。

国道沿いのエロ本の自動販売機、僕はずっと泣いていた。