最も手に汗握る演出の信頼度は71%である。
「ほんと、美味しいラーメンなんだって!」
「えー淳子のそれってあまり信頼度ないからなー」
どこかで女の子同士の会話が聞こえてきた。信頼度とは面白い表現を使うなって思ったのだけど、淳子ちゃんがあまり信頼されていないことはしっかりと伝わってきた。良い機会なので少し「信頼度」について考えてみることにした。
主に僕のようなクズが生息するパチンコ、パチスロの世界にには「演出の信頼度」という独自の概念が存在する。パチンコやパチスロをたしなむクズどもは最終的に大当たりを引いて勝つことを目的としているのだが、実はあの機械の内部ではかなり早い段階で「アタリ」「ハズレ」が拍子抜けするほどあっさり決まっている。
けれども、それじゃああまりにもアッサリしているっていうんで、その当否の結果をもったいぶって見せる「演出」というものが搭載されている。浜崎あゆみが俺たちの希望を取り戻したら大当たりとか、マミさんがお菓子の魔女に食われたらハズレだとか、そういった手に汗握る展開が液晶画面に表示され、打ち手を楽しませるようにできている。
ここで大切なのは、演出→結果ではないという点だ。あくまでも当否の結果が先にあって、それにあった演出が選択されている場合がほとんどである。演出の強さによって当たりを引いてくる確率が違うのではなく、あくまで結果によって振り分けが決まっているのである。既に当たっているときは強い演出が選択されやすくなっている。逆に外れているときは強い演出は選ばれにくい。当たりの時にしか選択されない演出というものがあって、それは出た時点で当たりなのだから信頼度100%の演出、ということになる。
もちろん、勝つことを目指してパチンコをしている以上、信頼度100%の演出が出てくることが理想的であるが、では勝つことが目的ではなく、手に汗握ることが目的であったらどうだろうか。絶対に当たることが確定している演出は手に汗を握らない。エキサイトはしない。逆を言うと、ほとんど当たりそうにない信頼度の低い演出も期待が持てないという理由で全く手に汗を握らない。では、最もエキサイトする信頼度とはどれくらいだろうか。
信頼度10%以下
これは全く当たらない信頼度である。いわゆる「ハイワロ」と呼ばれる演出で、液晶画面では延々と演出が流れているが、全く期待持てないので冷めた目で「はいはい、ワロスワロス」と呟く気持ちを省略して「ハイワロ演出」と呼ばれるようになった。手に汗握らないどころか、こういった信頼度が低い演出は多発するので、出るたびにハイワロ度が上がってくる。
信頼度30%
ハイワロとは言えないが、やはりあまり期待できない信頼度である。しかも、信頼度を気にする場面では多くの場合がネガティブな方面に捉える傾向がある。幼馴染の親友が30%の確率であなたを裏切ります、と聞くとすごい高い確率に聞こえてしまい、いつか裏切られると悩んだりするが、あなたは30%の確率で美人と結婚します、と言われると、もっと高くしろよと思うはずだ。あまり起こらないように思えてしまう。良いことが起こる確率としてとらえると低く、悪いことが起こる可能性として捉えると高いのである。つまり、大当たり確率30%、はネガティブにとらえてあまり当たりそうにないので手に汗を握らない。
信頼度50%
アタリもハズレも半々である。最も手に汗を握りそうな信頼度だが、前述したように、こう言った場面ではネガティブに捉えるのが一般的である。つまり、50%だといっても少しは当たりにくい印象になる。つまり、少しだけ当たらないことが多いような印象を受けてしまうのだ。完全に手に汗握るとは言い難い。
信頼度100%
いわゆる「鉄板」と呼ばれる演出である。喜ばしいことではあるが、手に汗は握らない。むしろ安心しきって、周囲にドヤァァァァとアピールするだけである。
信頼度90%
こちらも信頼度が高すぎる。むしろ90%はほとんど当たるので、逆に外れた時は恥ずかしいぞ、心が折れるぞ、という心配が先走ってしまう。全く手に汗を握らない。
信頼度80%
まだかなり信頼のおける確率である。当てて当然の確率と世間ではみなされる。志望校への合格確率80%と言われればまあ安全圏だ。外したらショックであることを心配するあまり手に汗握る信頼度とは言い難い。
様々な状況を鑑みて、最も手に汗握る信頼度を計算すると、これはもうこのブログの公式見解として71%という数値がはじき出される。公式見解っぽく太文字でもう一度言っておく。
最も手に汗握る演出の信頼度は71%である。
この71%という信頼度が最もハラハラするのである。さて、本題はここからで、実はこれは何もパチンコやパチスロなどのクズたちのワンダーランドに限った話ではない。現実世界でも十分に意識していかなければならない問題なのである。
この世の中で起こるあらゆる事象を「演出の信頼度」という側面でみると、なかなか世の中が面白いことに気が付く。そして、最も手に汗握る信頼度71%の事象を見つけることに躍起になってしまうのだ。
例えば、「居酒屋で女が彼氏のことに関する悩みを男友達に相談しているときにその男友達とセックスをする確率」これはもう信頼度100%でレインボーのオーラが見えているので手に汗は握らない。
「イケメンが雰囲気良い感じになってる女に俺たち付き合わねえ?って言って付き合うことになる確率」これも信頼度90%は軽く超えてくるので全然手に汗握らない。逆に、僕らオロロン系が告白するのはハイワロなので手に汗を握らない。
様々な事象について考えるのだけど、71%の信頼度を持つものがなかなか見つからない。けれどもね、見つかりましたよ。我々スタッフ、長年分析して探しました。そして見つけました。今日は特別にその演出を教えてあげますので、街でその演出を観たらハラハラドキドキしてください。それでは発表します。
そこそこ仲が良い程度のブスが3人集まりラーメン屋の前を通りかかるとラーメン部を結成する確率
これが71%の信頼度なんですよ。
「あ、ラーメンおいしそう」
「もう、淳子、またそれ~?」
「でもみんなもラーメン好きでしょ?」
「まあ、好きだけど」
「うん、ラーメンって美味しいよね。でも一人じゃ行きにくいかな」
「じゃあ私たち、三人でゴンザレス女子大ラーメン部ってことで!」
「異議なし!」
「いっぱい食べ歩きしようね!」
こうなる確率が71%ですので、ブス三人がラーメン屋の前を通りかかったら手に汗握ってください。ちなみに、その後ちゃんとラーメン部として活動せず、3人で食べ歩きもしない確率も71%ですので、ついでに手に汗握ってください。ちなみに、そのラーメン部結成の様子を店内から見ている太ったオッサンが、ダイエットするからもうラーメン食べない!といって我慢できる信頼度は4%。いわゆるハイワロです。