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Read me!

今日も朝一新幹線のナミです。みなさんこんばんは。

さて、みなさんはネゲットという言葉をご存知でしょうか。そうですね、オフ会などで出会った異性に変な棒を出したり入れたりすることですね。ちょっと前の時代はネットでの出会いなんてものは一般社会に溶け込めないサイコ野郎がやるものだって相場が決まっていた時代の名残でしょうか。そういった関係は特殊な部類だったのです。

それがいまやネット世界は爆発的に普及し、ネットで出会うなんて当たり前、ネットで出会いまくって破った処女膜802枚なんて人もいますが、まあ、どれだけ情報化技術が発達しても行きつくところは結局はチンポの出し入れってところが人間の愚かさみたいで憎めないものです。

当時のネット社会は、「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」をアーダン一人でクリアする、カップラーメンを色々な液体で作る、巨大なプリンを作る、などの多種多様な狂気が横行しており、セックス&狂気&暴力、みたいなある意味人間の本能を集約したカオスな世界が広がっていたのです。

そんな中、私の知人に所属する大学の非公式ホームページを運営する男がいました。朕もそのホームページで知り合ったのですが、確か緑色の背景に、なぜか知らないけどペンギンの画像がお出迎えするホームページだったと思います。

そこにはBBSと呼ばれる掲示板システムがあり、山陰放送じゃないですよ、そこで活発に大学の話題が交わされていたのです。しかしながら、圧倒的に参加者が少なかったんでしょうね。どう多めに見積もっても4人くらいしか参加者がいなかったのです。今だったらSNS感覚で、スマホで簡単アクセス、今日飲み会しよう、だとかあの教授の講義だるい、だとか、それだったらこっちの講義のほうが簡単に単位取れる、だとか有意義な情報が取り交わされて、リアルが充実している人たちが集結するんでしょうが、当時は違いました。

携帯電話はネットにアクセスできませんし、一般家庭にインターネット環境があるってことも珍しいくらいで、一人暮らしの大学生ともなると、大学のパソコンからアクセスするくらいしか考えられませんでした。よって参加者は4人と少ないながら掲示板で盛り上がっていたのです。

その中に「シュレリンガーの猫」というハンドルネームの男がいました。彼がホームページの管理者でした。そして僕は「やんちゃな子猫」っていうハンドルネームで参加していました。もう一人の参加者の名前は忘れたんですけど、残る一人は「寂しいうさぎ」みたいなかまってちゃん臭をプンプン漂わせたやつでした。

ある時、掲示板で僕とシュレリンガーの猫が喧嘩を始めたのです。理由は些末なことだったと思います。よく覚えてないですが、150円引き如きで普段来てない吉野家に来てんじゃねーよみたいな罵倒合戦が続いたのです。そこに名前も忘れたやつが割って入ってきてネチケットがどうこうとか心底うざったいこと言い出して、「寂しいうさぎ」が言い出したんです。

「そんなに喧嘩するなら会って話し合おうよ!わたしも立ち会うから」

これにはシュレリンガー、やんちゃ、両猫は大興奮しましてね。このまま喧嘩を続ければ寂しいうさぎに会うことができる!と大興奮したのです。過去の書き込みから「寂しいうさぎ」が女である可能性が高いというのは判明していましたから、とにかく会うってことは最終目標みたいなものだったのです。すぐさま、

「てめー誰に断って猫名乗ってんのよ?この掲示板で猫と言えばおれでしょ?」

「はあ?お前こそ品のない名前だな。俺のなんて高尚な猫だぞ」

「てめー、このホームページをYahooに登録しようとして弾かれただろ、しってんぞ」

「しらねえよ!」

こんな不毛なやり取りをKENT-WEBのBBSでずっとやっていたのです。すると満を持して「寂しいうさぎ」が発言しました。

「もう、やっぱり会ってはなそ?でも絶対に喧嘩はダメだからね!」

これにはやんちゃな子猫もしめしめですよ。やんちゃな顔でしめしめですよ。たぶん、ネットの向こう側でシュレリンガーの猫も、しめしめな顔と真面目な顔が重なり合った状態で、とか言ってるに違いありません。

こうして今でも忘れない、510号講義室の前で落ち合うことになったのです。いつもネットで罵倒しあっているシュレリンガーの猫と会う、なんだか奇妙な気分でした。いつもかわいーなちくしょーとピンクのフォントを眺めていた「寂しいうさぎ」に会う。もう興奮のるつぼでした。

「すいません、やんちゃな子猫さんですか?シュレリンガーの猫です」

話しかけられて振り返ると、すげえ、もやしっこが立ってるんですよ。校長先生の話に一番最初に倒れそうなやつが立ってるんですよ。

「え、君がシュレ猫?」

「はい」

掲示板では暴力的にやりとりしていたのに、とんでもないもやしっこの出現に動揺が隠せず

「いつもおせわになってます」

「いえいえ、こちらこそ、掲示板を盛り上げていただいて」

みたいなよくわからないやり取りに。

「うさぎさん遅いっすね」

「そうですね。なんか文学部らしいんでちょっと遠いから遅れてるのかも」

シュレ猫がうさぎの所属学部を知っている事実に確信しましたよ、こいつ、うさぎを狙ってる。明らかにネゲットを狙ってるって。

「僕一度、うさぎさんぽい人見たことあるんですよ。図書館で。すごいかわいいですよ」

シュレの発言に僕も大興奮です。早く来い、うさぎ早く来い。俺がネゲットしてやる。念仏のように唱え続けました。そして、ついにその時は到来したのです。

「あのー、シュレリンガーさんにやんちゃな猫さんですか?」

キュートなアニメ声、うおおおおおおおおと思いつつ顔をみました。

なんですか、これ?

いや、ブスじゃない。たぶんブスじゃない。決してブスじゃないと思う。ただ何の特徴もないというか、機械的に作られた顔というか、なんかしっくりこない顔なんですよ。この顔、どっかで見たことある。絶対に見たことある。なんだ、ネットで見たことあるぞ。ああ、あれだ。あれに似てる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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先行者

 

もう、一度そう見えたらそれにしか見えなくて、背中にしょってるピンクのリュックもバッテリーみたいものにしかみえないし、ぎこちない動きもロボットダンスにしかみえない。

「やっぱすげえかわいいや」

正気かよシュレリンガー。頭おかしいんじゃねえか。なんか右腕見たら30センチの竹の定規みたいに等間隔で目盛りついてるけど大丈夫かって思うんですけど、シュレ猫は完全に惚れてしまった様子。

完全にリアルが充実している大学生たち、から逸脱してレールに乗れなかった3人が学食で話してるんですけど、もう全然会話が噛み合わなくて、

「俺があのホームページを開設したのはうさぎちゃんに会うためだったんだよ。神がめぐり合わせてくれたに違いない」

女性に慣れてないネットの人ってすげえ直球なんだと思いつつ

「わたしもシュレ猫さんに会えてよかった」

とうさぎもまんざらでもない様子。

「ねえ、ハンドルネームで呼び合うのも変じゃない。同じ大学の仲間ってことで本名で呼び合おう、俺の名前は正敏」

「私は敦子」

「君は?」

とか僕に振られたんだけど、こんな怪しい奴らに名前を聞かれたって、んなもん、マツモトキヨシでも名前を隠すレベルと思いつつ、適当に偽名で答えていました。

さて、しっかりネゲットを達成したシュレディンガーの猫ですが、その後も彼が立ち上げた大学の非公式ホームページの掲示板で、

「流れ星が流れなくなったらどうしよう、それでも僕はうさ子(寂しいうさぎのこと)の願いを叶えてあげたい」

「じゃあ、流れ星を流してほしいっていったら?」

「僕が彗星を落とす」

みたいな甘ったるい投稿が続くようになり、名前も忘れた第四の男も投稿しなくなり、二人の愛の巣のようになりました。

しかしながら、さらにしらばくすると投稿は途切れ、なんだか「寂しいうさぎ」がシュレ猫のアパートの部屋の前でゴールドクロスの修復を行い倒れていた、恐怖を感じたシュレ猫が大学を休学して地元に帰る、という投稿が謎の男からなされ、掲示板は宣伝書き込みで溢れて深い沼の中へと沈んでいきました。

いったい今頃シュレ猫はどうしているのか。寂しいうさぎは今でも寂しいままなのか、興味は尽きないのですが、怪しくて危険、それでいて甘美なネゲットという世界が確かに当時はあったのです。

まあ、僕はすでにネゲットに興味をなくしてネットで買える裏ビデオに興味が移っていました。

まあ、4万円騙し取られたんですけど。

ネットアイドルちゆは、今でもネゲットを企んでいる人々を応援しています。

 

 

□←ここを叩いても1upキノコは出てきません