会議は踊る

「それでは、定刻となりましたので第4回定例会議を始めたいと思います」

ーさあ、始まりました。定例会議60分一本勝負、今日も解説の田所さんと共に実況を進めていきたいと思います。田所さん、よろしくお願いいたします。

ーいやあ、60分で終わったことないでしょこれ。もう時間無制限一本勝負にしちゃったほうがいいんじゃないかな

ー前回は予定時刻を大幅オーバー、4時間経過しても決着がつきませんでしたからね

「それではさっそく議題に入りたいと思います。お手元の資料をご覧ください」

ーさっそく澱みのない進行です。この辺の導入はさすがといったところでしょうかね。進行役の軽快な導入からはじまりました。

ーさすがといったところでしょうかね

「前回の議論でAというところに決定しましたが。今日はその細部をつめていきたいと思います」

「ちょっといいかな?」

ーで、でたーーーー!問答無用のちょっといいかな!でましたー!

ーそもそも議論に入らせない。という基本の攻撃できましたね。どう対応するのか進行役の腕の見せ所ですよ

「ほんとにさ、Aでいいの?って思うわけよ。俺はBのほうがむしろいいんじゃないかって思ってる」

ー田所さん、これは?

ー伝家の宝刀、「蒸し返し」ですね。前回決まったことを平気で無視する。今回の会議どころか前回の会議すら無にする究極奥義です。

ー進行役の切り返しが注目されるところです

「では、前回の決定を覆して、AではなくBではないか?というところか議論を始めますか?」

ーこれはいけませんねえ。こういったいちゃもんをいたずらに取り上げると長引くばかりです。決まったことですから、と一蹴しないと

ーこれは進行役の手痛いミスと言えるかもしれませんね

「では、Aが妥当であるかBが妥当であるか決めたいと思います。ご意見のある方は挙手で意見を述べてください」

ーさあ、振出しに戻った形となりました。

ー前回の4時間はなんだったんでしょうねえ。

「ちょっとまって、あのさ、そもそもAかBか決めることがそんなに重要かな?必要なこと?」

ーでたあああああああああああ!前提から覆す掟破りの「ちゃぶ台返し」ここで一気にたたみかけるううううう。いかがですか?田所さん

ーじゃあ前回言えよって感じですね。そもそもこういう提案は建設的ではありません。ちょっと変わった角度で物事を見ることができる自分、をアピールしているに過ぎません。

「いや、そこは決めないとどうしようもないわけですし。決めずにいたら他の部分の業務が停滞しますので」

ーここは進行役も強気ですね

ーまあ、彼はいつもピントずれてますから、この対応が妥当でしょう

「他に意見はありますでしょうか?」

「ちょっといいかな?」

「はい」

「そもそもAってなんだろうか?」

ー田所さん、これは?

ー物事の定義を気にしだす「哲学者」です。さらに俯瞰して物事を見ることができるアピールである場合がほとんどですから相手にする必要はないですね。会議が長引くばかりです。

 

(1時間経過)

 

「それではAということで決定いたします」

ー田所さん、ついにAに決定しましたね

ーまだこれで1個目の議題だっていうんだからいやになっちゃうね

「ちょっといいかな?」

ー田所さん、またきましたよ

「やはりそんなに短絡的にAに決めていいのだろうか?もっと議論を尽くすべきでは?」

ーきましたね。議論を尽くすマンです。大抵の場合は議論を尽くすのが目的ではなく、自分の思い通りになるまで議論をしようと言う提案です。

ーなるほど。やっかいですね

「ちょっといいかな?」

ーおっと、また別の手が上がりました。

ーもう無視しちゃっていいと思うんだけどねえ。

「俺もとにかくAには絶対に反対だ。絶対に反対だ」

ー田所さん、これは?

ーこれはあれですね。そもそもAもBもどっちでもいい、けれどもお前のことが嫌いだからとにかく反対する、というやつですね

ーなるほど。進行役のことが個人的に嫌いだから、とにかくなんでも反対しておく、というスタンスですね

ーすごいなあ、こりゃ。これだけ会議を長引かせる人間が集まってる銀河系軍団がいるんじゃあ終わんないよ、これ。まだ1個目の議題終わってないのに外真っ暗だよ。あと10個あるのに。

「ちょっといいかな?」

ー田所さん、またちょっといいかなですよ。

ーよくないって断ってやりゃあいいのに

「どうぞ」

「なんかさあ、俺たちが熱く議論してるのにさっきからずっとタブレット見てるやついるんだけど」

ーおおっとお、これはいけない。どうやらあまりに不毛な長い会議で嫌気がさして、タブレットでメモとるふりをしてネットサーフィンをしていた男がいたようですね

ー気持ちはわかりますがこれはいけませんね

「いや、あの、タブレットでメモ取ってました」

ーこれは苦しい言い訳。デブ、汗だくです

ー指の動きみてりゃ、メモ取ってなかったのはバレバレですしね

「すいません、ネットサーフィンしてました」

ーおおっと、デブ、罪を認めましたね

ー問題は何を見ていたかですよ。内容によっては解雇もありえます

「長野から上京したての女子大生が原宿でパンケーキを食べたことを報告するブログ読んでいました。参考になるかと思って」

ー全然関係ありませんね

ー彼、バカなんじゃないかな

「それでは、今回は議論も煮詰まっておりませんし、次回に向けて継続審議と言うことで。それでは2番目の議題に入ります」

ーここは進行役もスルーして先に進みましたね

ーまだまだ先は長いですからね。むしろ議論を散らかすより女子大生のブログ見てくれていたほうがありがたいという考えですね

ー田所さん、さっきのデブ、またタブレットいじってますよ

ー今度は、性に大らかで下ネタも平気でいけちゃう、女と言うよりは中身はオッサン、今日も立ち飲み屋でホッピー、女子大生のブログですね

ーむちゃくちゃニタニタ笑顔で気持ち悪いですね

ー怒られないといいんだけど

ーといったところで、中継の時間が残りわずかとなりました。日曜劇場「99.9-刑事専門弁護士-」は時間を繰り下げてお送りいたします。田所さん、残り時間わずかです、一言で今後の展望を

ーたぶん1番目の議題にまた戻ると思います。そして、あのデブはまた怒られる。

ーといったところでまた次週。以上、実況の私、向坂と

ー田所でした

ーまた来週

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