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人のデブを笑うな

言うに及ばず僕はデブなわけなんですけど、君たちは僕のデブを嘲笑うわけじゃないですか。手の画像を映し出しただけで「手がデブ」なる謎の価値観を持ち出して僕をデブだと嘲笑う。それはあまり良くない行為だとわかっているか。

なんというんでしょうか、まず前提として、僕は公然とデブと言える程度のデブなわけなんですよね。こう言ってしまうと語弊があるかもしれませんが、まだデブと言える程度のデブなわけなんです。デブと言える程度のデブ、これは正確にはデブではない。

これが深刻なレベルのデブだったらどうなのか。尋常じゃないレベルのデブだったらどうか。たぶんですけど、君たちは僕に向かってデブと言うことはできない。ちょっと気を使って、これはデブと言ってはいけないみたいな空気を読んだりする。それどころか、君たちは僕の目を見て話せない。視線そらして早口でごにょごにょいうだけだ。ちゃんちゃらおかしいわ。

結局、僕をデブと罵ることができるのは、僕が程よいデブだからだ。人はそれが深刻なレベルに達しているとそれを指摘して嘲笑うことはできない。例えば頭髪がやや薄くなってきた人を、ちょっと薄くなってない?と弄ることはできるが、完全に散ってしまった人の頭髪を弄ることはできない。それはもう、人の心を失った獣だ。君たちはまだ獣ではない。それをしてしまうともうヒトに戻れなくなってしまう。

言わせてもらうと、お前らは僕のデブ具合が結構好きなはずだし、ちょっとアリかもって思ってるはずだ。つまり、僕をデブだと罵る行為はラブ宣言に近い。僕をデブデブと罵る度に、お前の程よい肉付きが肉感的で好きだ、俺が女だったら抱かれてる、と言ってるに過ぎない。

ただ、皆さんの感覚は逆で、程よいデブ、笑いやすいところを笑っているつもりかもしれませんけど、それは見当違いですからね。本来なら、シャレにならないレベルの人のほうが突き抜けててそんなに気にしないですけど、程よいレベルの人のほうがセンシティブで敏感です。その辺の認識のずれは結構深刻ですよ。

だいたい、なんていうんですかね、笑えるレベルのデブを笑う。それって短絡的じゃないですか。皆さんが僕のデブを笑う、それは別に構わないんですけど、じゃあ、笑えないレベルだったらどうするのかって話ですよ。僕が時の権力者だったら、僕のデブを笑えないようにしますよ。

まず、僕の体重が増えたらテレビにテロップが出るようにしますね。これはイライラしますよ。とてもじゃないが笑えない。

だいたい、夜中に我慢しきれなくなって炊飯釜開けて米食うんですけど、そしたら体重増えますわな、その瞬間、NHKと民放全局にテロップが出ます。

「ティローン、ティローン」

「pato氏、深夜の米により体重1kg増」

ってテロップでます。深夜アニメを録画している君たち発狂ですよ。

お昼ご飯もけっこうラーメンとチャーハン、とか食べますから、まあ体重増えますよね。そうなると昼でも構わずテロップです。


「ティローン、ティローン」

「pato氏、お昼の暴飲暴食により体重2kg増」

昼下がりのマダムもイライラですよ。

たまに食い放題とか行ってすごいことになりますよね。そしたら画面がL字ですよ。お前らの大好きなアニメ、L字、そこに「皿にローストビーフを18枚盛った」とかずっと実況の文字が流れてる。

「今日はとことんまでいくぜ!」

同じ食い放題でも完全に限界突破するときありますから、そうなるともうL字どころではない。残念ながら君たちが見たいアニメは放送中止だ。安藤さんが出てきて、報道センターがすげえざわついてる感じになる。現地から生中継も入る。

「デザートを取りに行き、終わるかと思いましたが、また寿司を取りに行きました。まだまだ体重は増えそうです。また動きがありましたらお伝えします」

スタジオには急遽呼び出された慶応大学の食い放題の権威みたいな教授が来ていて

「まだまだ高カロリーな食材を残してます。8キロ増くらいいくのでは?」

みたいなコメントを残す。

もうこうなったら僕のデブを笑えない。頼むからこれ以上太らないでくれと懇願するはずだ。

結局何が言いたいかというと、皆さんは僕のことをデブデブと罵ったり嘲笑ったりしますが、まあ、それは愛情表現として分かるんですけど、それは笑えるレベルのところを笑っているにすぎないということなのです。そう、これまではね。

つまり、また結構太って笑えないレベルのデブになってきていて、女子社員が、「あのひとちょっと笑えないレベルのデブじゃない?」って噂しているのを聞いたからです。

ついに僕はシャレでは済まないレベルのデブになってしまった。あまりに焦って取り急ぎ筆を取った次第であります。

「人のデブを笑うな」

そう言いましたが、できれば笑えるレベルのデブでありたい。笑ってほしい、そう思うのです。