恋はわざび味のように
ピッ、ピッ、ピッ!
「お会計1280円になります」
「1280円、ちょうどお預かりいたします。ありがとうございました」
「いらっしゃいませ、あれ?」
「やほ」
「どうしたの?家この辺じゃないでしょ?」
「ちょっとねー。すごいねーほんとにスーパーで働いてるんだ。レジっておばさんがやるものだって思ってたけど、男の子でもやるんだねー」
「うっせwけっこうシフトの融通が利くんだよw」
「へえーわたしもやろうかな」
「お前はバイトしたらただでさえ遅れがちな課題出さなくなるだろ。留年するぞ」
「そうなんだよねー」
「あれ?友達?」
「うん、高校の時の親友、サキちゃん」
「へえー、はじまめして」
「はじめまして。マコったらいっつも山木君の話ばかりなんですよ。それなら一回バイト先に見に行こうってなって」
「もうバカ!何言ってんのよ。嘘よ、嘘だからね」
「山木君にあいたーいって」
「もうバカ!やめてよ!ほら、並んでる人いるんだから早く会計してよね」
「お、おう」
ピッ、ピッ、ピッ!
「酒ばっかりだねー」
「うん、これから私の家でサキと飲もうかなって」
「山木君も来てくれないとマコ死んじゃう」
「もうやめてよ。嘘、嘘だからね」
「シフト何時までですか?」
「ちょっと、サキやめてってば」
「えっとー、10時までかな」
「じゃあ終わったらマコの家に来てください」
「いや、うーん、うーん、明日提出の課題が」
「課題なんてもうできてるんでしょ?マコに聞いてます。いつも山木君は課題なんて出された次の日には終わらせてるって。バイト終わったら来てください」
「でも」
「逃げないでください」
「ちょっとサキ」
「いいから。このままでいいの?マコは。私許せないよ」
「山木君はどうしてマコにあんなこと言ったんですか?」
「いや、ちょっとバイト中だし。待ってるお客さんいるし」
「逃げないで」
「どうしてマコに好きだって言ったんですか。マコすっごく悩んだんだよ。なのに山木君は急に冷たくなるし。返事しなかったから嫌われたと思って泣いてたんだよ。今日だってすごく勇気出してきたんだから。どうしてあんな弄ぶようなこと言ったんですか」
「・・・・・・」
「もういいってサキ」
「いいから、私に任せて」
「本当にマコのことが好きなら、あれが悪戯とかじゃないなら今日バイト終わったらマコのアパートに来てください。場所知ってるでしょ?」
「・・・・・・お会計2448円になります」
「ちょっと、なんか言いなさいよ」
「もういいってサキ」
「3000円、お預かりいたします。お返し、552円になります」
「なんか言いなさいよ!」
「お客様、できたらそのお釣りの552円で、僕の分のお酒も買っておいてください。終わったら必ず行きますので。そしてお伝えください。マコちゃんに告白したけど断れるの怖くてちょっと避けてしまってごめんなさいって」
「山木君・・・」
「ったく、最初からそう言いなさいよ」
「つまみは僕が持っていくんで」
「じゃあ、私たち先に行ってるね。サキだけに(笑)安心して、私は終電で帰るから、山木君が来る頃にはいないかなー。あとは二人でご自由に」
「もうサキ!」
「ありがとうございました」
さて、ここで問題です。この光景をずっと後ろに並んで、柿ピーのわさび味1つを買うためだけにずっと待っていたデブなおっさんの心情を答えなさい。
正解は、そういうごちゃごちゃいいから柿ピー1個だし先に会計させてくれねーかな、です。サキだけに(笑)