青春18キップとムーンライトながらを使うと4030円で東京から八代までいけるらしい

外は雨が降っていた。7月22日金曜日、午後10時。世間は昼間に発表されたポケモンGOに沸いており、ここ東京駅でもスマホ片手に歩いている人が散見された。

 

東京駅(東京都)22:52

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なぜこんな週末、花金の夜中に東京駅にいるのかというと、事情を話すととても話が長くなってしまうのだが順を追って説明していきたい。僕は前回6月にこのような記事を書いた。話はそこまで遡る。

期間限定で使える青春18キップというものを使えば東京から九州は福岡の小倉まで行けてしまう、という地獄のような記事だ。これは前々から言われていたことで、時刻表を読めば可能なことはすぐに分かる。けれども、実際にやってみたらどうなるだろうか、という想いから2年前に実施したものだった。

ただ、この記事を上げる際に、一つだけ懸念事項があった。それが「ムーンライトながら」の存在である。

ムーンライトながらとは、青春18キップの利用期間に特別運行される東京ー大垣(岐阜県)を走る夜行快速列車だ。普通こういったエクストラな列車は特急券が必要だったり青春18キップでは利用できなかったりするのだが、このムーンライトながらは520円の指定席券さえ買えば青春18キップでも乗れてしまうことから18キッパーの間で親しまれている。

前回の記事は東京駅4:55の始発から出発してどこまでいけるかということだったが、このムーンライトながらを用いれば夜のうちにかなりの距離を稼ぐことができる。僕が前回の記事をアップする前に抱いていた懸念はまさにそこで、この始発から開始した記事をアップすれば、ながらの存在を知っている剛の者からツッコミが入るであろうと予想されることだった。「ながらを使えばもっと先までいけますよ」と。

実際にアップロードを敢行すると、出るわ出るわ、「ながら」の雨嵐。抜粋させていただくと。

 

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完全に「ながら」に親族を殺されたレベルでツッコミを受けたわけなのです。

僕も「ながら」に乗ればもっと遠くまで行けることは分かっていたのですが、「ながら」は指定席券であること、さらに剛の18キッパーにはそこそこ人気があり、週末などは満席になることなどを考えると、そこまで気軽に使える代物でもなかったのです。

しかしながら、このままではまあ遺恨というか、すっきりしないものが胸の中に残るのも事実。このまま僕が年老いて死んでいく時に、僕のベッドを取り囲んでいる孫とかに「おじいちゃんはなんで「ながら」使わなかったの?小倉より先に行けたのに」と言われたら死んでも死に切れません。ということで、「ながら」の指定席券を取得し、やってまいりました。どこまでいけるか。

 

青春18キップとムーンライトながらを使うと4030円で東京から八代までいけるらしい

 

東京駅(東京都)22:52 (前回の到達タイム4:55)

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この日は夏の青春18キップ期間に運行されるムーンライトながらの運行初日であった。週末でもあり、指定席券争奪は熾烈を極めたが、なんとかゲットすることができた。

ムーンライトながらは東京駅から運航している。その出発時間は23:10分だ。まだ余裕があるこの時間になぜ東京駅にいるかというと、実は東京駅から「ながら」に乗るより安くなる方法があるからだ。

これは青春18キップの規定によるところ原因なのだが、青春18キップは「1日間普通列車乗り放題」のものだと解釈してもらって良い。ただ、こういった0時をまたぐ列車の場合、ちょっと事情が複雑になる。0時前と0時後は別の日という考え方から2枚の青春18キップが必要となってしまう。それを避けるため、0時になるまでは普通に乗車券を買い、0時から青春18キップを発動させる手法をとる人が多い。その場合、ながらは0時を超える停車駅が小田原駅なので、小田原までの乗車券が別途1490円必要となる。

ただし、ここで魔の時間差トリックを利用し、22:52東京駅発熱海行きの普通列車に乗っても小田原駅に0:31に停車するムーンライトながらに間に合う。さらにこの普通列車は大磯に0:00に到着するのでそこから青春18キップ発動となる。つまり乗車券は大磯までの1140円で抑えられる。

なにもこんなことしなくても、普通に東京駅からムーンライトながら乗り込みたいのだけど、剛の者が許さないと思うので一番安くなる手法を採用した。熱海行きの列車に飛び乗る。車内は週末ということもあり酔っぱらってるサラリーマンや、ポケモンGOに興じる若者などであふれていた。かなり混雑しているがたぶん、これから八代まで行こうとしているのは僕しかいないと思う。

 

小田原(神奈川県)00:18  (前回の到達タイムー6:21)

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ホームに到達すると、すでに「ながら」待ちと思わしき剛の者どもがホームで待ち構えていた。運行初日ということでカメラを構えている人も多かったように思う。中には「亡命?」と尋ねたくなるほどでかい荷物を持ったオッサンもいた。みんな「ながら」の到着を今や遅しと待ち構えている。

「ムーンライトながら、現在7分遅れで到着予定です」

ホームに遅れて到着というアナウンスが流れた。これは旅のしょっぱなから幸先が悪い。それでも今や遅しと待ち構えていると、そろそろ到着みたいなアナウンスが流れた。ついに「ながら」がやってくる。みんな「ながら」を待っていた。心なしかホームの皆が浮足立っているように思えた。

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「きたぞ、ながらだ!」

隣に立っていた剛の者ぽい人が叫んだ。ホームの奥の方にヘッドライトが見える。彼の服には「テニス」と英語で書かれていた。良く意味が分からないセンスだ。

「快速でありながら特急の車両を使うながらのヘッドライトは独特の185うんたらかんたらですぐわかるんだ」

テニスの独り言うんちくが続くが、やってきたヘッドライトは通過する貨物列車のものだった。テニスが少しはにかんだスマイルを見せていた。そしてそれに続いて大本命の本物の「ながら」が入線してくる。

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なにせ7分遅れで到着したものだからすぐにでも出発しそうな勢いだったので、撮影することはできなかった。上の画像は小田原駅ではなく別の駅で長い停車をした時に撮影したものである。「臨時快速」の表記が勇ましい。

さて、ついに念願のムーンライトながらに乗車した。ながらは全席指定席であるので座る席は決まっている。しかも満席状態なので二人掛けのシートには必ず誰かが座ることが予想される。どんな人が隣に来るか、僕はデブなので関取みたいな人が隣だときついなーとか考えていると、隣にはなんかそこそこの若者が座っていた。東京駅から乗っていた彼はもうすでにリラックスムードだ。

窓際に陣取る彼は何やら忙しそうだ。簡易テーブルを出してノートパソコンを広げ、窓際にももう一台小さいパソコン、手にはタブレット端末、スマホと携帯音楽プレイヤー、ありとあらゆる電子機器を広げてコックピットみたいになっていて、忙しそうにカチャカチャやっている。完全に電脳キッズだ。

何が彼をそこまで駆り立てるのかしらないけど、彼は福山雅治みたいなバズーカ風のカメラも持って降り、駅に停車するたびに降りて撮影をしていた。彼がホームに降りるたびにに通路側に座る僕は席を立たねばならなかった。それは別にいいのだけど、彼の駅に対する執着は相当なもので、なんと、通過する駅までカメラに収めようとするもんだから、スマホの地図を眺めていて通過駅が近づいてくると窓に向かってカメラを構え、一瞬だけ車窓に映る駅の風景をカメラに収めようとする。もちろん、結構な速度で通過するので上手に撮影できるわけではなく、そのたびに電脳キッズが舌打ちするのでなんか怖く、「今度の通過駅は上手に撮影でてきてほしい」と心の中で祈ることしかできなかった。

朝まで通過駅を撮影し、停車すれば飛び出して撮影、その合間はパソコンをカチャカチャたまにポケモンを捕まえる、と完全に電脳キッズの独壇場でムーンライトながらは漆黒の闇の中を駆け抜けていった。何度目かの停車の時に

「すいません何度も、僕邪魔ですか?」

と電脳キッズに聞かれたが、別に邪魔ではない、撮影したい気持ちはすごくよくわかるので

「全然邪魔じゃないよ」

と答えておいた。ただ、撮影に失敗した時の舌打ちは怖いのでやめて欲しいと思ったけど、素直に言えなかった。言えば良かった、でも面と向かって言えないよな、と後悔しつつ、「ごめんね素直じゃなくって夢の中なら言える」と心の中で唄っていた。思考回路ショート寸前である。ムーンライトながらは伝説を携えて進んでいくのである。

名古屋を過ぎたあたりから空が明るくなり、車窓からの景色を楽しめるようになる。あっという間に岐阜県、大垣に到着した。

 

5:53 大垣(岐阜県) (前回の到達タイム11:41)

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一気に岐阜県まで来てしまった。まるでこの世に静岡県など存在しなかったかのような飛ばしっぷりである。18キッパーの間で魔の地帯と恐れられる静岡、列車にトイレがないことがある魔物、熱海ー浜松間を飛ばせるメリットはかなり大きい。おまけにまだ朝の6時だ。

前回にも書いたが、ここ大垣駅では大垣ダッシュなるエクストリームスポーツが存在する。西を目指す人はここから米原行きに乗り換えるのが最も効率が良いが、米原行きは車両数が一気に減る。座席に座るために走るしかない。おまけに乗り換え時間も4分となかなかタイトなのでどうしても多くの人が殺到してしまう。結果、大垣ダッシュなるものができてしまう。

ムーンライトながらに乗っていた乗客のほぼ全てが隣のホームに殺到する。どの乗換でもそうなのだけど、基本的に路線がしょぼくなる乗換では急がないと席には座れない。ただ、僕はずっと記載しているの乗り換えでの駅名表示の看板を撮影するのでどうしても一歩遅れてしまう。なので座席争いには参加しない。危ないしね。デブだしね。結果、ほぼ全ての乗り換えでスタンディング状態となる。なので大垣ダッシュにも参加しなかった。

もちろん、米原行きは立ったままの状態となった。朝日が眩しくて少しクラクラした。

 

6:31 米原(滋賀県) (前回の到達タイム12:20)

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安全点検だったか何かで電車が遅れた。もともと乗り換え時間が2分程度しかないタイトな乗り換えだったが、さらに4分遅れて乗り換え時間は-2分だった。ただきちんと待ってくれているのであまり心配する必要はない。急いで駅名表示を撮影したので、他の駅より角度がきつい。

ここからは夢の乗り物、文明の利器「新快速」に乗車することになる。圧倒的速度で圧倒的本数、使いやすい電車としてはおそらく日本一ではないかと思う。新快速播州赤穂行きに乗り込んだ。京都も大阪も神戸も一気に通過するとんでもない列車だ。

生粋の18キッパーたちに加えて、一般の通勤通学の人たちも多く車内は混み合っていた。それでもどんどん進んでいくと乗客が減っていき、ボックス席に座ることができた。

京都駅に到達するととんでもない幸運が僕を襲った。同じボックス席に座っていたブラウン色のオッサンども3人が京都で降りたのと入れ替わりに若い娘3人が座った。3人ともおっぱいが大きかった。普通に考えて2×3=6、数にして実に6個のおっぱいである。ボックス席でこれだけおっぱいに囲まれるとは思わなかった。旅はしてみるものである。

さらにこの子たちは、電車内の冷房にご不満なのか、あつーとか言いながら薄着をさらに薄着にした。これドッキリなんじゃないだろうかと周りを見渡した。それぐらい不自然な展開だ。でもカメラっぽいものはなかった。これはよほど僕が前世に良いことをしたに違いない。たぶん猫とか助けたのだろう。途方もない魅惑の時間を過ごすこととなった。なんか推定Fカップが2つ、次にEカップ2つ、さらにEカップ2つ、つまり並べるとFFEEEEである。カラーコードで言うとこの色である。かなりかわいいピンクだ。乳首もこの色に違いない。そんなことを考えていると大阪駅に到着した。

6個のおっぱいは大阪駅で降りていった。この旅で最も楽しい区間であった。おっぱいに囲まれない旅など完全に意気消沈だ。なんで八代まで行かなければならないんだ、頭おかしいんじゃないか、と怒りすら覚えるが、それでも僕の旅は続く。

ここまでを読んで皆さんは不自然に思ったことがないだろうか。そう、トイレの話をしていない、ということだ。前回あれだけトイレトイレ言っていたのに、今回は一切書いていない。ここまで全ての列車にトイレはあったと思う。ただ、今回はあまりウンコをしたくならなかった。安心感があったからだ。ただ、おっぱいが下車した辺りから少しだけウンコしたい気持ちが沸いていた。

それでも安心だ。何度も車内放送でお手洗いは1号車と放送されている。いつだってトイレに行こうと思えば行ける。それはまさに大船に乗った気もちだった。もうこの表現は現代では大船なんてピンとこないから「新快速に乗った気もち」とかに変えるべきだと思った。ただ姫路を通過してから事情が大きく変わった。

「お手洗いは一号車ですが、現在、使用不能となっております」

それは死刑宣告に近かった。誰かが詰まらせたか壊したか、とにかくこの列車には現在使えるトイレがない。実は後ろの車両にもう一個トイレがあったのだけど、姫路からその車両は切り離されていた。急に突き放された形となり、僕の不安はマックスだった。世の中とは大抵がそうで、人は裏切るものである。そしてトイレも裏切るものである。

身悶えるような腹痛と戦い、なんとか人間としての尊厳を守りつつ、相生駅へと到着した。

 

9:33 相生駅(兵庫県) (前回の到達タイム15:22)

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ムーンライトながらの使用により、前回より6時間ほどタイムが先行していることとなる。かなり順調だ。

ここでは岡山行きの車両に乗り換えるのだが、かなり車両が少ない。おまけに18キッパーに加え、この日の夜に広島ZOOM-ZOOMスタジアムで開催される広島-阪神戦の観戦のためか、ユニフォームを着た人たちでかなり混み合っていた。もちろん席取り合戦に参加できない僕は立った状態になっている。

横に立っている少し年配の夫婦が気になった。実は18キッパーにこのパターンは多い。旦那が趣味として18キップの旅をしたくてしたくて仕方なく、その横に無理矢理連れてこられた奥さんっぽいひとが立っているというパターンは多い。旦那はウッキウキで時刻表を眺めているが、基本的に奥さんの目は死んでいて、高架上の新幹線ホームを眺めている。

この夫婦もそんな感じだったのだけど、一つだけ違うところがあった。旦那は「タイガーウッズ」と英語で書かれた意味不明な黒いシャツを着ていたのだけど、そのシャツの袖の辺りからチラチラと黄色と黒の塊が見えていた。ポケモン?と思ったが、よく目を凝らして見てみると、生きの良いハチであった。うお、ハチが肘についとる、そう思って眺めているといよいよ列車が出発するぞって雰囲気になってきた。

そこで対角に立っていた阪神タイガーズのユニフォームを着たマダムがタイガーウッズを指さして指摘する。奇しくもどちらも虎である。運命のいたずらというべきか。

 「ちょっと、蜂がついてるわよ!」

周囲が大騒ぎになった。タイガーウッズ旦那のほうもハリウッド版忠犬ハチ公の「HACHI」にでてくる発音で「ハーチー」って叫んだかと思うと全盛期の三沢のエルボーみたいに肘を突き出して右に左に揺さぶった。けれども、蜂は一向に離れない。

「ちょっと、ここで取っても迷惑でしょ、外で」

奥さんがそう言うので、まだ開いているドアに向かて駆けていくタイガーウッズ。列車の外で払おうとしたらしい。でも無情にも出発らしく、ドアは閉まった。行き場をなくしたタイガーウッズは肘を突き出した体勢で右へ左へ、それに合わせて周りの乗客も遠巻きに逃げる。それはまるでマイケルジャクソンのスリラーのようだった。テーレテーレ!ってずっと頭の中で流れていた。蜂はどっかとんでいった。マイケルジャクソンとタイガーウッズ、そしてバックダンサーの一行を乗せて列車は岡山へと向かっていった。

 

10時38分 岡山駅(岡山県)(前回は通過したため記録なし)

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そろそろお腹が空いてきた感じだったが、ここでも乗り換えはタイトであった。すぐさま糸崎行きに乗り換える。「糸崎」思い出すと頭がウッとなる駅名だが、すぐさま電車に乗り込んだ。乗客は多く、また立った状態だった。車内ではOL二人組が、婚活パーティーの話をしていたのでずっとそれを聞いていた。今度、男女で一緒にパンを作る婚活パーティーに参加するらしい。うまくいくといいね。

 

12:17 糸崎(広島県) (前回の到達タイム18:10)

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前回の記事で、ここで長い乗り換え時間があったが駅に何もなかったので食事できなかったと書いたらすごいお叱り受けたのであえて書きますけど、糸崎駅は駅前にセブンイレブンがあります!良い駅です!

今回は残念がら1分しか乗り換えがないタイトな状態だったので、糸崎駅に絶望することはなかった。12時18分の大野浦行きに乗り込んだ。

 

13:43 広島(広島県)(前回は通過したため記録なし)

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事前の下調べによると、ここまでかなりタイトな乗り換えを行ってきたが、実はもっと余裕をもっても最終結果は変わらないことは分かっていた。けれどもあえてタイトな乗り換えをしてきたのはここ広島駅でかなりの乗り換え時間を稼ぐためである。調査によると、次は14時42分の岩国行きまで余裕がある。つまりこの旅初の長い乗り換え時間、59分もの余裕がある。なんでもできる。翼を手に入れた気がした。

59分の乗り換え時間はマツダZOOM-ZOOMスタジアムを見にいったりしてるうちにあっという間に終わってしまった。広島を堪能し、予定通り14時42分発の岩国行きに乗り込む。

広島を出発し、しばらくはまあまあ車内が混み合っていたが、宮島口を過ぎたあたりからどんどんと乗客が減っていった。最終的には、僕のいた車両は僕ともう一人のカップルしかいなかった。

このカップルはなぜか外国人だったんだけど、こんなに空いてるのに僕の横に座ってきて、ブチュブチュとやり出してもうすごかった。そのうち駅弁でも初めようかといういちゃつき具合で、そのうち僕にも話しかけてきてヘイ、イエローモンキーこれがEKIBENだぜ!駅だけになHAHAHAHAHA、とか言っていたらどうしよう、パードゥンと返そう、とか何度もシミュレートしていた。白人の女のほうが足をむっちゃ虫に噛まれていたのが気になった。

 

15:31岩国駅(山口県)(前回は通過したため記録なし)

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下関行きに乗り換えた。

前回、山口県は魔のゾーンと報じた。長く詰まらない延々と続く山口県と報じたが、あれは大きな間違いであったと伝えなければならない。前回もそうだったが、いつも山口県を通過するときは夜であることが多い。ただ、今回、ムーンライトながらの利用により、15時に山口県に到達という状態だ。昼間に山口県を通過すると素晴らしいことがわかる。車窓から見える瀬戸内海とそこに浮かぶ島々は絶品だ。

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f:id:pato_numeri:20160725133603j:plain完全にムーンライトながらのおかげである。ありがとう、山口県。

 

18:38 下関市(山口県) (前回の到達タイム23:50)

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本州最後の下関駅に18時半に到達した。前回は23時50分の最後の乗り換えで、完全にラスボス前のセーブポイントだったが、今回はまだまだ、ここまででも異様に長かったが、旅はここからが本番だ。ラスボスの2個前くらいの、なぜか住民が主人公グループに敵対的で誤解を解かねばならない村くらいのところだろうか。

とにかく、少し乗り換え時間があったので飲み物を購入し、小倉行きへと乗り込む。いよいよ九州入りだ。

 

19:12 小倉駅(福岡県)(前回の到達タイム0:04)

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ついに小倉到達である。前回はここまでで0時を迎えたが、今回はムーンライトながらのおかげでまだ19時である。まだまだ先に進める。

とりあえず、南下していくにあたり鹿児島本線への乗り換えが19分あったので、ホームでうどんを食べることにした。完全に旅情である。前回の記事から追い求めていいた旅情がついにここにきて実現することとなった。

 

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小倉駅7番ホームのかしわうどんは有名らしく、客が多い。店員のおばちゃんも愛想がよく親切だ。ただセルフサービスの冷水器が精度が悪く、水を入れようとするとシャワーのように噴射されて手がびちゃびちゃになってしまう。

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かしわうどん370円。

完全に旅情である。余裕のあった広島駅で、モンスターボール欲しさにマクドナルドでベーコンレタスバーガーセットを食した時はどうなることかと思ったが、ついに旅情のうどんを達成することができた。

旅情は達成したが、旅はまだ終わらない。19時29分鹿児島本線荒木行きに乗り込む。さあ、ここからは未知の領域だ。

荒木駅へと向かう途中、車内アナウンスで「本日は臨時にスペースワールド駅にも停車します」と言われ、おお、週末だし夏休みだし、スペースワールド帰りの客がごっそり乗ってくるんだな、と少し身構えた。

停車したスペースワールド駅では、氷結を持ったオッサンが乗ってきただけだった。

 

21:29 荒木駅(福岡県)

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かなりタイトな乗り換えであった。乗り換え時間は1分。後ろに映っている車両が、乗り換えるべき荒尾行きで待っている状態だった。乗り換える前も後も同じ種類の車両で、ポスターまで同じで、さらに同じ座席に座ったので、なんか異空間に来たような不思議な感じがした。

途中、独りも乗客がいなくなってきてすごい不安になる。

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イメージとしては、銭婆に会いに行く時の電車な感じなのだけど、本当にこれは荒尾につくのだろうか、どこか異空間にいくのではないか、そんなことを考えていた。さすがに疲れていたのだと思う。

 

22:05 荒尾駅(熊本県)

f:id:pato_numeri:20160725140736j:plainまたタイトな1分乗り換えで今度は熊本行きに乗りこむ。こちらの列車は比較的混雑していた。花火大会でもあったのか、浴衣姿の若者が多かったように思う。

 

22:50 熊本駅(熊本県)

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ついに最後の乗り換えである。4分間の乗り換え時間で八代行きに乗り込む。

八代行きの車内でついに23時を超え、これで24時間電車で移動していたことになった。発狂しそうである。ながら車内の電脳キッズが遠い昔のことのように思える。そしてついに車内アナウンスが「次は八代」そう告げた。ついにフィナーレだ。

 

23:20 八代駅(熊本県)

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ついに到達した。

ここまでにかかった金額を計算すると、

青春18キップ1日分 2370円
ながら指定席券 520円
東京ー大磯乗車券 1140円

合計 4030円

「青春18キップとムーンライトながらを使うと東京から八代までいける」

ということである。

所要時間 24時間28分
乗り換え回数 13回
途中駅 206駅(停車した駅)

となる。

 

おまけ

ちなみに、八代駅はファミマがあるのだけど、到着する頃には閉店準備をしており、駅前はご覧の通り、

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 何もないのでご注意を。

野宿すら覚悟し、ポケモン捕まえながら歩いていたらネットカフェがあったので助かりました。

 

次の日の始発前の八代駅はこんな感じです。

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こういう旅をしているといつも思うことだが、おそらくもう一生会うことはない人々が電車に乗ってきて同じ空間を過ごす。車窓から見える一つ一つの明かりにはその人の生活と思い出がある。なのに僕はたぶんその人に会うことはない。それがなんとも不思議でそして面白い。

人々の生活はきっと面白いものなのだろう。誰かが泣き、誰かが笑い、誰かが疲れて眠る。僕らは世の中に起こっていることの本当の一部分のさらに一部分に見たない部分しか知ることができない。そんな知らない誰かの知らない生活に少しだけすれ違える旅は、なんとも興味深くて面白いものなのだ。次回はもっと長い距離にチャレンジしてみたい、そう思った。