あの娘ぼくが舛添都知事についてきいたらどんな顔するだろう

このブログにおいて政治的な意見や立場を表明するつもりは毛頭ない。なのであえてぼやかせて特定されないように配慮して書くけど、どこかの都道府県の都知事が辞職届を提出したらしい。一連の金にまつわる疑惑や公私混同問題に関する追及に押された形だ。

これらの件に関しては連日テレビで扱われ、ニュース番組やワイドショーなどで嫌というほど報道されているが、その中のある報じ方が、以前から感じていた違和感を決定的なものにしてくれた。それが「街の声」「街の反応」として流される街頭インタビューだ。

ニュース番組なんかでは街の声として路上でインタビューをした映像を流すことが多い。だいたい、巣鴨、新橋、渋谷が三大街頭インタビュースポットであり、老人、サラリーマン、若者、の声をピックアップするようにできている。

前述の都知事の件に関しても、これでもかというくらいに街の声が流された。

「許せないです。説明責任を果たしていない」

「早く辞めてほしい」

「みっともない。セコいですよ」

みたいな感じで「一般市民」「一般都民」の声が流れる。ここで疑問に思うのが、果たしてこれは本当に街の声なのだろうか、という部分だ。

何度も念押しさせてもらうが、僕は別に都知事がどうなろうと反対でも賛成でもない。少なくともここでどちらかの立場で論じるつもりは毛頭ないのだけど、それらを報じる際に使われた「街の声」のあり方には少し疑問符がついてしまう。

もちろん、この件に関しては上記のような意見が大半であろうし、実際に「街の声」なのだろうと思う。けれども、極端な話、1000人インタビューした中で3人だけが上記の意見だった、みたいな場合はどうだろうか。この部分が気になって仕方ないのだ。

そう、1000人中3人のマイノリティであっても、それだけを立て続けに流せばそれはもうもう代表意見、「街の声」になってしまうわけだ。1000人中3人ってのはあまりに偏りすぎなので実際にやったとしても「こりゃおかしいぞ」って見ている人は気づくだろうけど、例えば6:4くらいの比率で分かれている意見を5:5くらいに見せるのはそんなに難しいことではない。4:6くらいに逆転させて伝えることも不自然ではないレベルだ。

つまり、どんな場合でも「街の声」として流すこと、そこにあまり意味はない。構造上、必ず「どれを採用するか選ぶテレビの人の声」になってしまうからだ。極端な話、番組が主張したい意見が出るまでインタビューを続けることも可能だし、それでも出てこないなら仕込みの人に希望通りのコメントを出させることだってできる。単に自分たちの意見を代弁させる手段に貶めることができてしまうのだ。

例えば、街で声をかけて最初に捕まえた3人の声を絶対に流す、そう宣言して実際にランダムに声をかけて、どんな内容でもそれを流す、これでやっとこさ「街の声」ってやつに近くなるのではないだろうか。もしくは1000人に聞いた内容をカテゴライズして平均化し、それに最も近い人の意見を流す。こうしなくてはいけない。もちろんそれは現実的ではないだろうということは理解できる。だったら別に最初からあれをやらなければいいのに、となるわけだ。

だいたい、インタビューに答えている各個人も、本当に自分の意見を言っているのか疑わしい。ああやってテレビカメラを構えられてしまうと無意識でテレビ的な回答をしてしまいそうな気がする。少なくとも僕はウンコとかそういう単語を使わないように喋る。ちょっと心の準備もして構えてしまった意見を言うことは容易に想像できる。本心ではない可能性があるのだ。

つまり、本当の街の声を聴くには、テレビを意識せず、心の準備もない状態で聞いてみるのが一番である。そして、最初に聞いた一人目の声を絶対に取り上げて採用する。ここまでしなくてはならないのかもしれない。

ということで、心の準備のない状態、そういった話を絶対しないような場所ということでエロいツーショットダイヤルに電話することにした。相手の女の子に舛添都知事についてどう思うか聞いてみたというわけだ。

どこかでも書いたと思うが基本的にツーショットダイヤルの女の子はサクラである。エロい話をして会話を引き延ばすほど彼女らの収入になる。そういった事情も踏まえてエロい会話で盛り上がってるところに唐突に切り出すことにより、彼女たちの本心みたいなものを聞き出すことにした。

「お相手とつながりました、やさしく、もしもし、と話しかけてください」

無機質な機械音声が流れる。女の子と繋がったようだ。支持された通り、優しく語りかけた。

「もしもし」

「あ、はい、もしもし」

若い女の子のようだ。声から察するに普通の女の子っぽい。

「今日はどうしてこういうところに電話してきたのかな」

「え、あ、はい、その、今日仕事がやすみなんですけど、約束がなくなっちゃって、暇で」

完全に普通の子だ。清楚な雰囲気すら漂っている。

「へえー、暇だからってこういったいかがわしいところに電話しちゃうんだ、へえー」

「……はい」

「悪い子だ」

「……悪い子です」

「どうされたいの?」

「そんな、恥ずかしいです」

「いわなきゃ」

「えっと、その」

気持ち悪いこと言っててまるで自分が言葉の魔術師になった気分になってくるが、彼女たちは会話を引き延ばしてなんぼの商売であることを忘れてはいけない。基本的に何を話しても合わせてくれる。これが一般女性相手だったら気持ち悪い喋りにガチャ切りされてる。切る際に「死ね」くらいは言われてる。

「いつもはこういう猥褻な場所でどういうことしてるの?」

「えっと、その、自分で触ったりして、その、いやらしい話をして」

「へー!自分で触ったりして!へー!」

「すごく恥ずかしいんですけど、そういうところ聞いてもらえると興奮するというか」

これはサクラの常套手段で、こうやってオナニー的な音声を聞いてほしいというのは、完全なる時間稼ぎとなっている。僕らはバカなので電話口で女の人がオナニー的音声を出してると絶対に電話を切らない。頭を使って会話するよりアンアンいってるだけでいいので効率よく時間を稼げる。かなり多用されがちなローキック並みの基礎的な手法だ。

「じゃあ、今日も触ってみてよ。ほれ、触ってみてよ」

「はい」

こうして厳かに儀式が始まるのだけど、基本的に女性側はは演技だ。電話口で女性は触ってすらいない。ただ声を上げているだけだ。

「ハァハァ」

「あんあん」

とか言ってるけど基本的に真顔で言ってるだけと思ってもらっていい。僕も適当に話を合わせつつ

「エッチな子だ」

「こっちも興奮してきた」

「ゆーか!ゆーかちゃん!」

とか言ってると、女の子もすごい盛り上がってきた演技をしてくる。お互いに真顔なのに、電話上ではすげえ興奮してオナニーしあってる。佳境になってきた。いよいよクライマックスだ。

「ああああああ、はぁん!あああああはぁん!いくううううう!」

彼女の絶叫がこだました。

今だ!

「今回の舛添都知事の一連の疑惑とその対応、辞職についてどう思う?」

「はぁんはぁんはぁーーーー!はぁ?」

「いや、だから、舛添都知事の一連の疑惑とその対応、そして辞職したことについてどう思うか言ってほしい」

「なんで?」

「いや、なんでと言われましても。街の声をきいてまして」

「答えなきゃダメ?」

「できましたら」

さっきまで、いくうううううううううううううじゅぼおおおおおおおとか言ってたのにお互いにすんげえ冷静な声になってんの。で、さっきと声の高さも全然違う感じで

「辞任は妥当だと思う。ただ疑惑のお金や公私混同に使われた金額を考えるともう一度選挙をする費用のほうがあまりに莫大。ただ信頼できない人には都政は任せられない。小さな不正が大きな不正に繋がることだってあるしね。でも、そろそろ費用がかからないような選挙システムを作ることができるのではないかと思う。むしろ作らなければならないけど、たぶんできないでしょうね。逆に倍くらい費用が掛かるシステムが納品されそう」

「なるほど、ご協力ありがとうございました」

「いえ」

「それでは失礼します」

「はい」

これが街の声なのかもしれませんね。これを1000人は現実的に無理なので20人くらい繰り返して、全て伝えればかなり街の声になるのではないかと思います。

さて表題の僕が舛添知事のこときいたらあの娘どんな顔したかというと、電話の向こうなので表情はわかりませんが、あはははんと言ってた時から変わらず無表情だと思います。