読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

日曜日よりの使者

仕事に行きたくない仕事に行きたくない仕事に行きたくない。

とにかく本当に仕事に行きたくない。年末年始の休暇が終わるこの日は、とにかく仕事に行きたくない。普段の仕事行きたくなさを1とするならば今日は4億はくだらない。それくらい仕事に行きたくない。

なぜこんなににも年末年始休暇明けは仕事に行きたくないのか考えると、これはひとえに年末年始が持つ「非日常」という魔力のせいなのではないかと思う。ゴールデンウィークやシルバーウィーク、お盆休暇など他の長期休暇に比べて年末年始はとにかく非日常だ。クリスマスの残り香が仄かに香り、誰もが新しい年の到来に熱狂する。街は騒がしく、テレビも普段とは違うスペシャルな内容を放送する。会う人会う人、なんだか妙にかしこまって挨拶してきやがる、そんな非日常があるのだ。

非日常から日常に戻る時、誰しもが心に引っかかる何かを抱くはずだ。ディズニーランドで夢のような時間を過ごした後、日常へと帰依していくことは辛いはずだ。それと同じレベルのわだかまりが仕事始めにはあるのだ。

「はあ、仕事いきたくねえな」

職場への道を歩きながらそう呟く。

「そんなに行きたくないなら行かなくていいよ」

耳元で声が聞こえた。

「誰だ!?」

辺りを見回すが、誰の姿もない。ただ退屈ないつも通りの通勤経路の景色があるだけだった。

「幻聴まで聞こえるようになったか、これはいよいよやばい」

どうして僕らはここまで追い詰められてしまっているのだろうか。ただ、僕らは普通に生きていたいだけである。なのに茫漠と横たわる歴然たる悪意、別の名を仕事と呼ぶそれは徹底的に僕らを追い詰める。

また一歩、また一歩と職場へと近づいていく。それはまるで自分の頭を挟み込んでいる万力のハンドルを自分自身の手で少しづつ締め上げているかのようだった。

「このままずっと信号が赤だったらいいのに」

赤になった歩行者信号の前に立つ。赤いランプを背景に直立不動のシルエットが描かれている。

「あいつは仕事とかないんだろうか」

そう思った刹那、そのシルエットがこちらに向かって手招きしてきた。

「え……!?」

次の瞬間、生ぬるい薄皮のような何か、何かと何かの境界みたいなものが自分の体を包んだような気がした。そしてそのまま真っ暗な暗闇へと意識が落ち込むのを感じた。

 

-------------------------------------

目が覚めると周りは深い霧に包まれていた。ほんの数センチ先も見えないような深い霧で、狭い部屋で何台も加湿器をフルパワーで稼働させたような状態になっていた。

「急激に天候変わりすぎだろ。とにかくこれだけ霧が深いと危ない」

ここは交通量の多い道路だったはずだ。これだけ視界が悪いと車が突っ込んでくることだってありうる。とにかく危険だ。

足元を見ると、よく知っているアスファルトではなかった。ただ踏み固めた赤い土がそこにあるだけだった。

「なんだここは」

気を失っている間に公園にでも移動してきてしまったか。これはまずい、仕事始めの日から遅刻なんて大変なことになってしまう。ポケットからスマホを取り出し、地図アプリで現在地を確認しようと試みる。けれども、スマホは真っ暗な画面のまま動こうともしなかった。

「どうなってるんだ、これは」

急に不安になってきた。霧の中を手探り、摺り足で移動するが、ただただ土の地面が続くだけだった。

「ウオオオーン!」

突如として大きな唸り声が聞こえる。それはまるで空気を振動させるかのような音で、遥か遠くから大音量で聞こえてくるようだった。得体のしれない恐怖が体を包む。同時に、まるでその正体不明の唸り声が合図であったかのように、みるみると霧が消え、視界が開けてきた。

「湖だ」

目の前には雄大な湖が広がっていた。

「なんでこんなことに」

どれだけ記憶を探ってみても、職場の近くにこれだけの湖があわけがない。つまり、どこか遠くまで来てしまったということだろう。いくら仕事に行きたくないからと言って無意識に逃避行的な行動をとってしまったしまったのだろうか。

「こんにちは!」

ハッキリと声が聞こえた。

「誰だ!?」

辺りを見回す。けれども、誰の姿もない。

「ここよ、ここ」

それでも声は耳元で聞こえる。

「あれ? あれ?」

キョロキョロとあたりを見回すと視界の端に緑色の何かが見えた。

「え!?」

そこには手のひらほどの大きさの小さな人間がいた。背中から生えた四つの羽を忙しそうにばたつかせ、僕の耳の周りを飛んでいる。

「妖精!?」

「そう、妖精。私の名前はメルル、よろしくね」

もう何がどうなっているのか分からない。仕事に行きたくない気持ちで信号待ちをしていたら急に謎の湖に連れてこられ、おまけに目の前には妖精がいる。悪い夢でも見ているのだろうか。

「その妖精が僕に何のようだい?もし君が僕をここに連れてきたのなら早く僕を元の世界に返してくれ。仕事に行かなくちゃならないんだ」

静かすぎる湖、存在するはずのない湖、そして妖精、ここがいつもの世界でないことは何となく感じていた。できることなら早く戻してほしい。

「あら、随分な物言いね。私があなたを連れてきたんじゃないわ、あなたは望んでここに来たの」

メルルはつんとそっぽを向きながらそう答えた。

「自分から望んで?そんなわけない。偉い人の仕事始めの挨拶を聞かなかったら大変なことになるんだぞ。仕事に行かせてくれ」

僕がそう言うとメルルはさらに羽をばたつかせ、少し距離をとってこちらに向き直って言った。

「ここは仕事に行きたくない人が導かれる湖なの。どうしても仕事に行きたくない、そんな気持ちが限界まで高まった時、人はここに導かれるわ」

なるほど、そういうことか。あまりにも仕事に行きたくない気持ちが高まりすぎてここに導かれてしまったのか。自分の抱えていた気持ちを思い出し、妙に納得してしまった。あれだけ行きたくないと連呼していたんだから、きっと限界に達していたんだろう。

「で、この湖に導かれてどうなるんだい? 仕事をせずにここで一生暮らすのかい?」

それならば望むところだ。仕事もせず、この湖のほとりでのんびりと面白おかしく暮らすのも悪くはない。

「さあ? そんなこと聞かれても私にはわからない」

メルルは突き放すようにそう言った。

「え? どういうこと? 君の立場的にはこの世界の案内人みたいなものじゃないの?」

メルルの立ち位置はこの世界のことを熟知した案内人的なものであるはず。それなのに、この世界が存在する意味や目的を答えられないとは何事か。

「私は案内人なんかじゃないわ。ただ一つ、役割をもってこの世界に召喚されているの。それはあなたに役割を教える、それだけが私のこの世界での役割」

「どういうこと?」

いまいち理解できない。僕の問いにメルルは鼻の頭を指で触りながら言った。

「わ、私にもよく分からないわ。この世界に来たばかりだし。ただ、この世界には沢山の仕事をしたくない人が導かれ、召喚されてくる。その全ての人がこの世界での役割を振り分けられているの」

「なんのため?」

「だから、わからないわよっ、そんなこと!」

メルルは顔を真っ赤にし、鼻の頭を触りながら左右にちょこまかと動いた。

「と、とにかく、私の役割はあなたに役割を伝えること、それで終わりだから」

「ふーん、そうなんだ。で、僕の役割はなんなの?」

僕も言葉を受けてメルルは湖の向こうの大きな山を指さした。まるで深い紅葉のように赤く彩られた大きな山が悠然と立っていた。

そして、急に説明口調の棒読みで説明を始めた。

「あれは山に見えるけど、仕事の鬼と呼ばれる鬼です」

「ふんふん、ずいぶんでかい鬼だな。鬼っていうくらいだから悪者だろうし狂暴なんだろう、近づきたくないねー」

「この世界は仕事に疲れた人々がやってきて、この世界の役割をもらいます。けれども、その役割を果たせないときは、ああやって仕事の鬼に取り込まれ、現世の何倍も過酷な仕事に従事させられるのです。永遠に抜けられない仕事の輪廻に取り込まれるのです」

「それは大変だねえ」

「あの鬼はこの世界の歪み、肥大しすぎるとこの世界を維持することができなくなります。仕事に疲れた人々の憩いの地であるこの世界が崩壊すれば、多くの人が仕事に疲れ、悲しい選択をしてしまうでしょう」

 「なるほど、この世界の崩壊は現実世界の崩壊を意味するわけだね。ならばその仕事の鬼をなんとかしないとダメなんだね、で、どうするの」

僕の問いかけに、まだ妙な説明口調のメルルの話が続く。

「あの鬼を倒さなければなりません」

「そりゃそうだ」

「それがあなたの役割です」

「は?」

妙な声をあげてしまった。その声に驚いたのか茂みから数羽の鳥が飛び立ち、水面に波紋を立たせた。

「いやいや、無理だって。山よりでかいやん。無理無理、ひとひねりにされる」

この緑色の小さいのは何を言ってるんだろうか。できることとできないことってやつを考えてほしい。全力で拒否してみせるのだけど、

「できるかできないかは関係ありません。それがあなたの役割、そして、それを伝えるのが私の役割」

メルルは冷たく言い放った。

「あの仕事の鬼を倒す。できなかったら……」

「役割が果たせなかったら、あの仕事の鬼に取り込まれ、未来永劫、仕事の苦難を味わうだけです」

メルルは鼻の頭を触りながらそう言った。

「それはいやだなあ」

僕が渋っていると、メルルは少し苛立ちながら切り出した。

「とりあえず、やるやらないはともかく近づいてみたら。鬼がいるのは湖の向こう岸みたいだし」

「うーん」

「ほら、ついて行ってあげるから早く早く」

こうして僕とメルルは、とりあえず倒すかどうかはともかく、仕事の鬼に近づいてみることにした。

-----------------------------------------------------------

「メルル、あれは?」

「だから分かんないって、私は案内人じゃないんだから」

見ると湖畔に二人の人間が座っている。

「こんにちは」

「あ、どうも」

話しかけると、二人のうちの少し顔色が悪い男が愚痴るように切り出した。

「いえね、さきほど妖精から説明があったんですけど、どうやら仕事に疲れてこっちの世界にくることになったんですけど、こっちの世界でも役割ってやつがあるみたいで、ねえ、でも妖精のやつ説明終わったら役割終わったってすぐ消えちゃって、ちょっとどうしていいのか分からなくて困ってるんです、ねえ」

顔色の悪い男は横に座る真っ赤に日焼けした男に向かって助けを求めるような視線を落とした。

「まったく、不親切な妖精だよ」

二人とも怒りが収まらないといった様子だ。

「ふーん、役割終えたらすぐに消えちゃう妖精もいるんだ。私みたいに責任感の強い妖精でよかったわね、感謝しなさい」

メルルが何か言っていたが無視して、二人に話しかける。

「そもそもお二人の役割って何なんですか?」

顔色の悪い男は青い顔をしてため息交じりに答えた。

「彼は誰かを止める役割だって言うんです。そして私は誰かを導く役割だっていうんです」

顔の赤い男は小首をかしげて言った。

「意味不明だろう」

「それは意味不明ですね」

僕がそう答えると、続けざまに顔の青い男が言った。

「そちらの役割は?」

あまり言いたくないが仕方がない。

「彼女は役割を僕に伝えるのが役割です。そしてその僕の役割が、あれです」

向こうに見える大きな山を指さした。改めてみるとやはりでかい。頭の部分には少し雲がかかってる。

「ああ、あれか」

「ええ、あれです。あれを倒すらしいです」

「それは難儀だな」

「ええ」

倒せるわけがない、それは二人にも共通認識としてあるようだった。まるで憐れな人を見るような二人の視線がいたたまれなくなり、二人に別れを告げてそそくさとその場を離れることにした。

「とにかく頑張ってくださいね」

「ええ、お互いに」

会話を切り上げ、メルルと共に歩き出す。

「絶対に無理だとかそんな話してるよね」

「まあそうだろうな」

湖に沿って伸びる長い長い一本道をただただ突き進んでいった。

-------------------------------------------------------

 湖の周りを彩っていた瑞々しい植物たちがなりを潜め、代わりに枯れ果てた木々たちが立ち並ぶようになってきた。

「彩も何もあったもんじゃないな」

「気を付けて、ここはもう仕事の鬼のテリトリーだから」

地面を踏みしめると水分を失った乾いた土がボロッと崩れ去り、包み込むように革靴を取り込んだ。前方に黒いもやのようなものが見える。

「あれは?」

近づこうと一歩踏み出したその時だった。

「止まれ!」

大きな怒鳴り声が聞こえた。ビクッとなって歩みが止まる。けれども、横を飛んでいたメルルはそのまま先に進んでしまった。

「きゃああああ!」

青光りする稲妻が幾度となくメルルを襲った。

「メルル!」

乾いた地面に横たわるメルルをそっと両手で掬い上げる。メルルはその小さな体を震わせ、荒々しく呼吸していた。羽は傷つき、至る所を火傷している。

「メルル、メルル」

問いかけるが返事はない。

「ここは仕事の鬼の結界、だから行ってはならなかったんじゃ。けれどもお嬢ちゃんが身をもって結界を破ってくれた」

いつの間にか顔の赤い男が後ろに立っていた。

「ついてきてたのか?」

「ああ、俺たちの役割を果たすには、あの鬼を倒すあんたについていくべきだろうって思ったからな。正解だったようだな」

横には顔の青い男も立っている。心配そうにメルルを覗き込んでいる。

「あ、動いた」

メルルはゆっくりと目を開けた。

「バカ、感謝しなさいよ。妖精は普通、役割を終えたら帰っちゃうんだから、ここまでついてきてあげたばかりか、あなたのために結界まで破ってあげたんだから」

メルルは意識を失いそうになりながら、苦しみながら羽を動かしている。

「メルル!もういい、しゃべるな!」

メルルはそれでも懸命に体を起こし、何かを伝えようとする。

「ごめんね、私、嘘ついていた。私の本当の役割は、あなたのために結界を破ること。それが私に与えられた役割だったの。果たせてよかった」

「メルル……」

「私思い出した。あなたも私も、毎年ここに来ているの。そして同じことを繰り返しているの、元の世界に戻ったら記憶は失われてしまうけど、仕事が嫌になるたび、この世界に来ている。みんなそうなの。私たちは前世とその前世からずっと、ずっと」

「メルルー!」

その小さな小さな勇気の塊は、もう動かなくなっていた。

「思い出したよ、俺。俺はずっとメルルと一緒にここで戦ってたんだ。仕事始めで仕事が嫌になるたび、ずっと戦ってたんだ。メルルはさ、言いにくいことを言う時に指先で鼻を弄る癖があるんだ。俺、いつもそんなメルルに勇気づけられて」

顔の青い男が、肩に手を乗せそっと囁く。

「いきなさい」

「ああ」

メルルを男に渡し、立ち上がった。仕事の鬼に対峙する。

「誰かの役割のために自分の役割を全うする。それが仕事だというのなら俺は何度でも挫折してやる。嫌になるたび、失敗するたび、悲しくなるたび、心が疲れる果てるたび、それでも仕事をしてやる。それが俺の役割だから。誰かのため、それが自分自身のためだから」

光の柱が体を包んだ。

「きれい。ほら、メルルちゃん、これが君の仕事の成果だよ。みんな解放されていく」

顔の青い男の手の上でそっとメルルの体が光に溶けていった。

顔の赤い男も青い男も、その体を溶かして光に溶け込んでいく。光の柱はそのまま仕事の鬼をも包み込んだ。同時に無数の光が生まれ、そして柱へと同化していった。

-----------------------------------------------

 

気が付くと、いつもの通勤経路、信号待ちの交差点に立っていた。

「あれ、ん? なんでこんな突っ立ってるんだ。信号青じゃないか。っと、仕事始めから遅刻ギリギリだよ」

ドタドタと走りよる足音が聞こえる。毎朝、この信号で同じになる女の人だ。たぶんこの近くのオフィスで働いているんだろう。スーツ姿があまり似合わない女性だ。もちろん話したことなんてない。ただ、なんか今日は自分でも不思議になるくらい自然に話しかけることができた。

「あけましておめでとうございます」

彼女は目を丸くして驚いていたが、すぐに普通の表情に戻り

「あけましておめでとうございます。いつもここで会いますよね」

「そうですね」

彼女は満面の笑みを見せてくれた。まだ息が弾んでいる。

「今日から仕事始めで仕事行きたくないなって思ってたら遅刻しかけちゃいました」

「僕もですよ、あ、さっさと渡っちゃいましょう」

信号を渡りきると彼女が辺りを見回し、そっと耳元でこう呟いた。

「あのー、すごく言いにくいんですけど、ズボンのチャック、開いてますよ」

そう言いながら彼女は鼻の頭を指で触っていた。

「新年からこりゃ失敬」

チャックを閉めて職場へと歩き出す。歩行者用信号の青信号と赤信号のシルエットの紳士がこちらに向かって手を振っていたが、僕は気が付かなかった。

さあ、嫌な嫌な仕事を始めよう。

クリスマスイブの過ごし方

クリスマスイブの六畳のアパートには寂しさだとか悲しさだとか、そういった悲しきものが充満していたような気がする。正確なことは覚えていないのだだけど、確かにそんな感情を抱いていたような記憶があるんだ。

大学の友達は、皆でスキーに行った。恋人がいない者同士、寂しくクリスマスイブって行事を過ごし、嵐が過ぎ去るのを待つ予定だったが、どうやら僕に内緒で開催された合コンという神事からグループ交際に発展したらしく、スキーに行くことになったらしい。どうやらそこで「決める」つもりのようだ。俺も行くよと申し出たが、やんわりと断られた。そりゃそうだ、何らかの理由があるから僕を合コンに誘わなかったのだろうから。

それはまさしく不意打ちだった。

何もクリスマスイブを恋人と過ごしたり、そうでなくとも仲間と過ごしたり、ジョイフルな何かで過ごさなければならないという強迫観念があるわけではない。別にとりとめのない、普段と何ら変わることのない日常の一日として過ごすことだって可能だ。けれども、それはある程度の心の準備があって可能なことだ。さらに、今回のように信じていた友の裏切りが重なると、メンタルだて通常のままではいられない。

動揺もしていたのだろう。混乱もしていたのだろう。窓の外に降り始めた柔らかそうな雪も心の乱れを手助けした。僕はいつの間にか電話を手にしていた。

プルルルルルルルル

誰でもいい。とにかく会話がしたかった。何かを話したかった。確認したかった。自分は一人じゃない、そう確信できる一握りの何かが欲しかった。

手元にエロ本があった。その広告ページに「ツーショットダイヤル」というものがあった。電話をすれば女性に繋がる、そこでエロい話ができるというアダルトなサービスだ。1分100円だとか、決して安価ではない料金を取られるが、初回登録時に2000円分の無料ポイントをくれると大々的に書いてあった。つまり20分は無料で使えるらしい。今の僕には、例え20分でも他人と、それも異性と話ができるのは大きい。何かに縋るような思いだった。

結構めんどくさい登録処理を終え、いよいよ女性との会話に入る。女性が待機するコーナーは3つあるらしかった。どの部屋に入るかを選ばなければならない。

「お友達部屋 女性と楽しく会話」

「恋人募集部屋 いい人がきっと見つかる」

「アダルト部屋 ちょっとエッチな会話」

この3つだ。やはり初心者なので「お友達部屋」から行くべき、そう思った。アダルト部屋なんてどんな魑魅魍魎が蠢いているかわかったもんじゃない。歴戦の猛者みたいなやつらが巣食っていることだって考えられる。それに貴重な20分を使ってはいけない。ここはライトに友達部屋で行くべきだ。クリスマスイブの寂しさに狂った初心者の女性、この辺を狙うべきである。

1番をプッシュすれば友達部屋に繋がる。押そうとしたその瞬間、神か、いいやサンタか、とにかく人間を超えた神々しい何かの声が聞こえた。

「ほんとにそれでいいのか?」

お友達募集?そんなもののために貴重な20分を使うのか?そう問いかけられているような気がした。

窓の外の雪を眺めた。今日は積もりそうだ。

「アダルト部屋にするか」

3番を押した。

「お相手と繋がるまでしばらくお待ちください」

無機質な音声が流れる。それとは対照的に、ポップなアップビートの音楽がうっすらと流れていた。電話の音質で届けられるその音楽はより一層チープなものに聞こえた。

「お相手と繋がりました。やさしくもしもしと話しかけてくださいね」

きた!

一気に緊張が増した。優しくもしもし、優しくもしもし、心の中で唱える。

プッ!

そんな機械音声から間髪入れず、相手の優しいもしもしが僕に届いた。

「もしもし」

お婆ちゃん?

そう思うしかない、老婆としか思えない優しいもしもしが聞こえた。完全に老婆だこれ。

「もしもし、こんばんわ」

僕も負けじと優しく語り掛ける。

「イッヒッヒ、クリスマスイブにこんなところに電話かけてー。悪い子ねー(棒読み)」

電話の向こうの老婆はそう言っていた。ちょっと僕を坊や扱いしたような感じで言われた。少し年上のお姉さんに、ちょっとアンニュイな感じでこう言われたらそれだけで大興奮なのだけど、なにせ、祖母レベルだ。こういうのはちょっと心にクる。

こういったツーショットダイヤルの相手の女性は多くの場合がサクラの女性だ。つまり体が疼いて仕方がない雌から電話が殺到、とこの広告に書いてあるようなことはほとんどなく、この業者からいくらかの金をもらって対応している。女性から見たらたぶん歩合制みたいなもので、男との会話を長引かせれば長引かせるほど金が入る仕組みになっている。

お婆ちゃんもきっとお金が欲しかったんだと思う。それで、クリスマスイブに、こんなところに……クッ……

世の中が悪い。政治が悪い。そう思った。どうして老人がこんなことをしなくちゃならないんだ。怒りすらこみ上げてきた。

「あー、今日はエッチな気分だわ。体が火照る(棒読み)」

電話の向こうの老婆は張り切っていた。こういったツーショットダイヤルにはチェンジ機能というものがある。気に入らない相手と繋がった場合は「#」を押すことで相手をチェンジできる。おそらく、その声で瞬時に老婆と判定される彼女はここまで数多くのチェンジに遭ったに違いない。それでは稼げない。でもこいつはチェンジしない、イケる!老婆は本当にはりきっていた。

「今風呂上がりだからー、裸に近いカモ(棒読み)」

僕は自分のおばあちゃんことを思い出していた。優しかったおばあちゃん。決して自分の生活だって楽じゃなかったはずなのによくお小遣いをくれていつも僕の頭を撫でてくれた。電話の向こうで棒読みを披露している女性とおばあちゃんが重なった。窓の外の雪は一層激しさを増していた。

「もう我慢できないから自分でしちゃおうかなー(棒読み)」

「あんあんあんあん、いいわー(棒読み)」

たぶんこういう会話をしろとかそういったマニュアルがあるのだと思う。老婆はそれに忠実にエロいお姉さんを演じている。もう止まらないといった感じで喘ぎ始めた。涙があふれた。誰が悪いわけでもない。あえていうならば世の中と政治が悪い。

「今日はクリスマスイブです」

老婆の喘ぎを遮って僕の話を始めた。

「どうしてクリスマスイブは誰かと過ごさなければいけないんでしょうかね。こうやって一人でいると寂しいんでしょうね。でも考えてみたら、別に誰かといなくたっていいんですよね。孤独であること、孤立すること、それって結構大切なことだと思います。けれども、やはりこうやって雪が降っちゃってテレビも浮かれていると寂しい」

僕の言葉に、老婆の棒読みの喘ぎが止まった。さらに続ける。

「電話をかけたら誰かに繋がる。それって結構大切なことだと思います。とくにこんな日はね。だから、こうやって誰かの相手をしてくれる、そんなあなたは尊くて立派だ」

もし、クリスマスイブに恋人や仲間と過ごさなければならない、なんて常識があるならば、そんなものはクソ喰らえだ。でも、やはり誰かと繋がるのは暖かく、温かく、心落ち着く。

「今日あたなに繋がって、僕は救われたような気がします」

無言の時が流れた。

それからしばらくして、老婆が話し出した。それはマニュアル通りの棒読みではない。彼女の言葉、だったように思う。

「私の話を聞いてくれる?」

彼女の問いかけに即座に答える。

「聞くために電話してるんです」

すぐに彼女は何かを決意したように語り出した。

「あのね、わたしね、ずっと誰かに言いたかったことがあるんだけど、こういう日だから言いたいのかな、ずっと思ってたことがあるんだ」

お婆ちゃんの家の窓からも雪が見えるだろうか。そんなことを考えていた。お婆ちゃんは何か言いたいことを誤解なく伝えようと必死に言葉を選んでいる。そんな気がした。

「えっとね、あのね、そのー」

そしてついにおばあちゃんがハッキリとこう言った。

「ナッパ!」

その瞬間、ぶつっと会話が切断された。

え!?ナッパ!?

「あーん、ポイントがなくなっちゃいました。この続きはポイントを購入してから楽しんでね」

無料ポイントがなくなってしまったらしい。「ナッパ!」その続きにある言葉はなんだったのか。気になって気になって仕方がない。何をどう考えても「ナッパ!」から続く言葉もストーリーも思い浮かばない。

クリスマスイブに恋人や仲間と過ごさなければならない、何かをしなければならない、なんてそんな常識があるならば、そんなものはクソ喰らえだ。何も変わることのない寒い年末の一日、そう過ごせることが大切なのだ。

お婆ちゃん、ナッパってなんなんだよ。音もなく降りてくる大粒の雪にそう問いかけ呟いた。

「メリークリスマス」

白い雪は何も答えなかった。

 

 

-------------------------------------------------------------

 

 

けれども、それでもだれかと繋がるのは嬉しい。ということで、今年のクリスマスイブにはイベントを開催します。

 

f:id:pato_numeri:20161125065147j:plain

ヌメリナイト2016ー渋谷のヌメリークリスマスー

12月24日 土曜日 OPEN 17:00 START 18:00 END 21:00 (予定)
出演:pato、松嶋、きいちゃん
東京カルチャーカルチャー(渋谷)
 
いつもは夏に開催されるヌメリナイトがクリスマスイブの渋谷に降臨!太ったおっさんが出てきて延々と訳の分からない話をする「地獄」を具現化したみたいなトークライブが開催されます。
毎回恒例の大ビンゴ大会も賞品をクリスマスプレゼントバージョンにして開催されます!
 
クリスマス何も予定がない方、恋人といるけど行くところがない人、寂しすぎてツーショットダイヤルで老婆と会話する人などなど、是非ともお越しください!
 

靴下は片方だけなくなる

なぜ靴下は片方だけなくなるのか教えてやろうか?

場末の酒場でウィスキーのグラスを傾けながら老人はそう言った。知らない人だ。

さあ、わかりませんね

その問いかけに興味があって答えたわけではない。早めに会話を切り上げたかったのだ。酒と肴が美味い店、この店に求めるのはそれだけで、それ以上何も求めていない。酒の力を借りて社交的になることなって求めていなかった。このぶっきらぼうな答えにはこれ以上会話を続けるつもりがないという意思表示が含まれている。

それはな、両方なくなった靴下はなくなったことにすら気づかないからだよ

おかまいなし老人は続ける。彼はニヤリと笑った。確かにそうだ。そもそも両足揃った靴下は記憶にすら残らない。当たり前だから。両方なくなった靴下は認識すらされない。余程お気に入りだとか、目立つ色だったとかしない限り靴下はあった痕跡を残さない。

つまり、靴下は特別に片方だけなくなったりしない、とということですか?ただ片方がなくなった事象だけを認識するから片方なくなることばかりに思うってだけで

そう答えると彼は残りが2割ほどになったグラスを見せびらかすように顔の前に掲げ、小さく頷いた。会話が終わる。沈黙する二人の間を酒場の喧騒が通り過ぎていった。

あの、いつもこの店に?

なぜか自分から彼に話しかけていた。少しだけまいっていたのかもしれない。

ああ、いつも来てるよ、常連だ。いつもこの席でウィスキーを飲みながら他の客を観察してるのさ

自分もある程度はこの店に通っていて、店員にも顔を覚えられている。常連、といえる立場にあるはずだ。それでも彼の存在には気が付かなかった。

すいません、気付かずに

そう言うと彼は笑った。

靴下も人間も同じさ、片方だけなくなる、話しかけられる、そんなことがないと気が付かないものさ。玄関に置かれた風景写真の額縁だって、曲がったりしてない限り気にも留めないだろ

彼はグラスに残っていた茶色の液体をぐいっと飲み干した。そして大きく呼吸すると少しだけ近づいてきて囁くようにいった。

アンタはいつもこの世の終わりみたいな顔してるよ

なんだかドキッとした。確かに今日は仕事のミスで落ち込んでいる。落ち込んだときはこの店に来て酒を飲むことにしている。まるで見透かされているような気がした。

そ、そうですかね

明らかに動揺を隠せていないが、なんとか取り繕って返事をする。彼は持ったままだったグラスをカウンターに置くと、少し間を置いて切り出した。

そうだ、ゲームをしよう。君が元気になるようなゲームだ

なんだろうか。少しだけ気になった。自分の心の内を見透かした彼の言葉に耳を傾ける気持ちが出てきた。

なあに、だれにでもできる簡単なゲームさ。それに若い君の方が有利だ。この老人には体力がないからね。そうだ、何かを賭けないとつまらないな。ここの飲み代を賭けよう、君が勝ったらここは奢る。私が勝ったら、そうだな、私が望むものをくれ

望むもの?

ああ、大したものじゃないさ。どうせ君が勝つんだ、気にする必要はない。ただ君に飲み代を奢ってやって元気を出してほしい、それだけさ。ゲームなんて形式にすぎんよ

不思議なことを言う老人だ、そう思った。けれども、どんなゲームかは知らないが、どうもこの老人は本当に自分を元気づけようとしているようだ。つまり奢ってくれるのだろう。懐が少し寂しい身としてはとても助かる。それになんだか面白そうで元気が出てきた。

やりましょうか。どんなゲームですか?

それを聞いた老人は馴染の店員に指示し、座敷席の座布団を片付けさせた。

君は足押しってしってるかね?

足押しですか?知りません

いやね、古くは土佐物語などに出てくる遊びなんだがね、これがまあ、面白いんだよ。もちろん、若くて体力がある君が有利だ。ただ、体力だけじゃない戦略性もある。ちょっとこっちに来なさい

そう言うと老人は靴と靴下を脱ぎ、座敷席へ上がった。不思議に思いながらもこちらも靴と靴下を脱いで座敷に上がる。即座に店員が飛んできて、靴と靴下を靴箱に収納した。

こういう体勢になってごらん

老人は畳の上に座り込みを、足だけを浮かべて足裏をこちらに見せるような体勢をとった。向かい合うようにして同じように座る。

こうして足の裏を合わせるんだ。そして手を離す。

体全体でV字を作る体勢で老人と足を合わせる。やけに体温の低い感触が足の裏に伝わってきた。なかなか体力を使う体勢だ、もうこの時点で腹筋が悲鳴をあげている。

そして、この足の裏を押し合う。先に体勢を崩して手をついた方が負け。簡単だろ?それに君が有利だ

確かにそうだ。ただゲームにかこつけて奢りたいという話は嘘でなかったらしい。腰の位置を直し、安定しやすい位置に変え、ゲームに備えた。

それじゃあ始めよう

老人の足に少し力がこもったのを感じた。少しだけ強い力で押してみる。老人のバランスを崩させるのは簡単だが、怪我をさせてしまっては良くない、危なくない程度に力を込めた。

うっ

老人の足に伝わるはずだった力はすっとどこかに消えてしまった。どうやら老人は伝わってきた力を右側にいなしたようだ。二人の足が大きく右に揺れる。危ない、これではこちらまでバランスを崩してしまう。怪我を心配して弱めに力を入れたのがよかった。これが全力だったらそのままバランスを崩して倒れて負けていた。

単に力がある方が有利というわけではないぞ、タイミングが重要だ。それには駆け引きが大切だ。そもそも、あまり力を入れていない相手に全力で力を入れても意味がない、そのままいなされるか、膝に吸収されてしまう。足を曲げればいいのだから、相手が力を込めてきたタイミングでこちらも力を込めなくてはいけない。思った以上に奥が深い。

お互いに動けず、静止した状態が続く。駆け引きだ。相手の呼吸を読まなければいけない。酒場の喧騒の中から必死に呼吸を読もうとする。

靴下が片方だけなくなるってはなしだけどな

老人が切り出した。突き上げた両の足に邪魔されてその表情は伺えないが、少しだけ苦しそうなトーンだ。しびれをきらして動揺させようと話しかけてきたに違いない。

はい、片方だけなくなることが特別に起こるんじゃない、片方だけなくなった時しか認識できない、ですよね

受け答えしつつ、相手の呼吸を探る。こちらもこの体勢がきつくなってきた。

ただな、おかしいとおもわねえか、なんで、片方だけなくなるんだってことよ

えっ?

一瞬動揺した。そうだ、たしかにおかしい。靴下なんてのは大抵はセットで使うものだ。片方だけ使うことがあるならまだしも、大抵はセットで使う、つまり家の外に片方だけ持ち出すことはほとんどない。洗濯などの際になくなるとしても、そんな大それたところにいってしまうはずがない。

そもそもな、片方なくなるって事態が特殊なんだよ、認識云々の話じゃない。

老人は動揺させよと突飛な説を持ち出しているのだろ。

じゃあ、なぜ片方だけなくなるんですか

問いただす。老人はすぐに答えた。

この世にはわけのわからねえフェチってやつがいる。例えば、男の靴下、それも好みの男の右足の靴下にしか興奮しねえ老人がいたとしたら。そしてその老人が部屋に忍び込んで盗んでいたとしたら。どうだい?なぜか右足にしか興奮しねえんだ、片方だけなくなるのも納得いくだろう

心臓の鼓動が早くなる。完全に動揺している。

そんな人いるんですか?

なるべく感情が入らないように答えるが、少しだけ声が上ずってしまった。

俺が買った時の望む物の話をしてなかったな、アンタの右の靴下をくれや、もう部屋に忍び込むのは骨が折れるんでな

ドクンと心臓が波打つのが分かった。それと同時に物凄い力が足に伝わってきた。波状攻撃と言わんばかりに変則的なリズムでぐいぐいと力が伝わってくる、老人が攻めてきている。闇雲に力をいなしたり加えたり、いつの間にか、老人は手をついていた。

ははは、やっぱりかなわねえわ。冗談で動揺させて一気に攻めたんだがな。あんた強いな。はははは

なるほど、さっきのは冗談だったのだ。とにかく、老人の攻撃をかわして勝てたのは大きい。いつの間にか落ち込んだ気持ちもなくなっていた。

その笑顔だよ。あんたはいつも落ち込むとこの店にくるんだろう。だからこの店でしかあんたを見ない俺には、いつも落ち込んでるようにしかみえない。落ち込んでるパターンしか認識できないからな、片方の靴下と一緒さ。でもな、その事象だけ見てたってだめなんだ、嫌なこともあれば嬉しいこともある。片方の靴下がなくなる何倍もの頻度で両方の靴下が揃ってるんだ

なんだか言いたいことも分かるような気がした。

ありがとうございます

そう言った。それは奢ってもらえるからじゃない。落ち込んでいた気分を浄化してもらえたような、そんな気持ちがしたからだ。

じゃあ俺は先に帰るわ、代金は払っとくからな。今度この店で会う時は、今みたいな顔でな

老人は早々に靴を履き、会計をして帰っていった。

なんだかいいことがあった、落ち込むこともある。嫌なことだってある。けれども、それがことさら印象に残るだけで、実際にはそれと同じくらいか、それ以上に楽しいこと、嬉しいこと、楽しみなことがあるのだ。本質は、それに気づけるかどうかなのだ。良いも悪いも気づきしだい、それは片方の靴下と変わらないのだ。

店を出ようと、靴箱から靴を出す。片方の靴下がなくなっていた。

そして家の玄関の風景がを収めた額縁は、少しだけ曲がっていた。

草津よいとこ一度はおいで

草津の民ってのはとにかく心が広い、懐が深い、そう思うよ。

京都府の隣、滋賀県に草津市という場所がある。滋賀県の南西部に位置し、県庁所在地大津市に次ぐ人口第二の都市だ。市内には立命館大学などを有しており、実は人口密度は仙台市や熊本市などの政令指定都市を上回る。なかなか活気のある街だ。

しかしながら、そこそこ大勢の人が「草津」と聞くと、「ああ、草津温泉ね」となってしまうのもまた事実である。特に関東圏の人ほどその傾向は強い。群馬県の北西部に位置する吾妻郡の草津町に燦然と輝く「草津温泉」、こういってしまうとなんだが、知名度はこちらのほうがあると言えてしまう。

ここからは僕の私見なのだけど、関西圏ならまだ草津市という存在が広く知られているので良いのだが、例えば関東の方に来て「草津に住んでます」と自己紹介しようものなら「ああ、あの温泉の、いいよね」と言われるはずだ。「いやいや、そうじゃなくて滋賀県の」といちいち訂正しなくてはならない煩わしさを感じているのではないだろうか。

例えば、僕が草津出身で、「ああ、温泉の」みたいなニュアンスのことを言われたら怒り狂うし、僕が草津で権力を握る闇のフィクサーだったら私兵を率いて群馬の草津に攻め入る。もう一つの草津を殲滅せよ、この世に草津は二つもいらんのだよ、それくらいの決意だ。けれども草津市民はそれをしない。現代の聖母と呼んでも過言ではないほどに慈愛に満ちた民なのだ。

そういった煩わしい思いをしつつも、相手を憎むでもなく、友好の手を差し伸べる。滋賀県の草津市と群馬県吾妻郡草津町は1997年に友好都市提携を結んでいる。とても懐の深い人たちなのだ。

けれども、懐が深いといっても限度があるように思う。多くの人は相手の懐の深さを見誤り、どんどんエスカレートして怒りを買ってしまう。人間は基本的に相手を舐めるようにできている。相手が優しいからと調子に乗ってはいけないのだ。つまり、笑顔で許してくれるからと言って、滋賀県草津市の人の前で「温泉」は禁句なのである。これくらい相手に気を使ってコミュニケーションをとることが大切なのだ。絶対に草津市で温泉は言ってはいけない。

さて、先日の週末、ひょんなことから僕はこの慈悲深い草津の民が暮らす草津市へ舞い降りることとなった。

少し事情があり、ひょんなことから手に入れた廃車寸前の軽自動車を、まだ乗れるし車検も残ってるし、ということで実家の親父が欲しいと言い出し、じゃあやるよってことで東京からブリブリと運転して実家に向けて走っている時のことだった。

新東名をひた走り、名古屋を超えて伊勢湾岸自動車道から新名神へとはいったときだった。何か異音がした。車から叫びのような悲鳴のような、明らかに正常ではない断末魔っぽい異様なキーキーという音がした。

まあ、廃車寸前の車だし、けっこうひた走ってきたし、車がおかしくなってきたかな、と思いつつ不穏な何かを感じるも、警告灯の類は一切点灯しないので恐る恐る運転しているとどんどん音が大きくなっていく。こりゃいかん、次のパーキングまで2キロ、そこで車を停めて点検だ、と思った瞬間だった。

モアーっとボンネットから白煙が!

ぎゃー!前が見えない!いかん、死ぬ、車が火を噴いて爆発炎上する、とにかく停まらないと!とブレーキを踏むも、エンジンが停まってしまってるのでブレーキが固くて全然停まらない。それでも許してくれない白煙、もうもうと噴出されてくる。

「サイドブレーキ!」

焦るも、サイドブレーキがある場所にサイドブレーキがない!パニックになりながらも、そうだ、この車は一番左のペダルがサイドブレーキだと思い出し、なんとかトンネルを抜けたあたりで停まることができた。車も爆発炎上せず、安全な路肩へと停車できた。しかも目の前が非常電話という都合の良さ。

車から降りて非常電話お使おうとするも、運転席側はもろに車道なわけで、トラックがビュンビュン走ってる。こっちからでると死ぬと思いつつ、助手席に移動して助手席側から脱出する。途方もないデブの僕が軽自動車の中で移動するのは苦難と呼ぶしかなく、あまりに窮屈さにジャージが脱げてしまい、半分尻が出た状態だった。

幸い、深夜だし、通りかかる車もものすごい高速走行してるので僕のことなど見えるはずはない。これは乗車前の点検を怠った自分への戒めなのだ、恥ずかしい思いをするべきなのだ、そう自分を律し半ケツのまま非常電話をかける。どうせ誰も見てない。


高速道路で半ケツなアタイ、と少し背徳感を味わいつつ電話をかける。


「事故ですか?故障ですか?」

爽やかそうな、絶対に彼女にフェラとかさせなさそうなボイスの男が出る。

「なんか、異音がしてて、おかしいな、こわいな、いやだなーっておもいながら運転してたら」

なぜか白熱して稲川淳二っぽく状況を説明する。

「バーッて!白煙が上がったんです!」

完全に怪談のクライマックスみたいになっとる。

「はい、こちらでも確認しました。監視カメラでいま見えてます。もう少し端に車を寄せることは可能ですか?」

「いえ、もう動かないので無理です」

「了解しました」

なるほど、ここはトンネル出口だから監視カメラで見えるのかな?と思いつつ、誰も見てないと思って半ケツだった自分を思い起こし顔から火が出るほど恥ずかしくなった。白煙があがってもおかしくない。

その後はまあ、レッカーを呼んだり保険会社に電話したりする。なんでも40分くらいでレッカー車が救出に来てくれるらしい。深夜なのでそのまま修理というわけにはいかないので、レッカーの会社が車を預かってくれて、そのまま翌朝に修理工場までもっていってくれるらしい。修理するにせよ、廃車するにせよ、とりあえずもう僕自身は必要ないらしく、連絡しますとのことだった。

救助に来てくれたレッカー車は、これまたフレッシュで爽やかそうなイケメンが運転していて、絶対に彼女とかにクンニしなさそうなやや潔癖っぽい男だった。テキパキとぶっ壊れた車をピックアップしてくれて、僕もそのレッカー車に乗り込む。

「いやー、よかったですよ。車が壊れただけで、お怪我がなくてよかった」

若いのに、しっかりと僕を気遣ってくれる。絶対にクンニしないであろその口で慰めの言葉がポンポン飛び出してくる。モテる男はこうでなくてはならない。

「いきなり白煙を噴きましたか?」

壊れた時の状況について質問される。また僕のスイッチが入った。

「なんか、異音がしてて、おかしいな、こわいな、いやだなーっておもいながら運転してたんです。やだなー、こわいなーって」

「バーッて!白煙が上がったんです!」

大・熱・演

そんなやり取りをしていたら高速を降り、見慣れない町が目の前に広がっていた。

「ここはどこですか?」

「滋賀県の草津です」

一瞬、草津温泉?と思ったがそれは絶対に口にしてはいけない。草津温泉は群馬だ。ここは立命館とかある草津だ。

「へえー結構都会なんですね」

「大学生とか多いですね」

目の前に広がる草津という街は大学生が青春を謳歌し、素朴な女子大生がサークルの先輩にクンニされそう、そんな街並みだった。

「どうします?修理にしろ廃車にしろもう大丈夫なんで、今日はどこかに泊まってもらって、明日は東京に帰られても大丈夫ですよ」

親父に車を渡すために東京からひた走ってきたが、その車が荼毘に付された以上、もう行く意味はない。スゴスゴと東京に帰るしかない。

「あ、大きなネカフェある。ここなら駅まで近いですか?」

今日はとりあえずネカフェで夜を明かし、明日になったら電車で東京に帰ろう、そう思った。明日駅まで移動することを考え、なるべく駅に近いネカフェに泊まりたいと思った。

「うーん、ちょっとここからは駅まで歩きますね。でもまあ、草津駅って滋賀でもナンバーワンの都会ですから、きっと駅前にもネカフェありますよ!草津駅まで送りますね!」

爽やかメンにそう促されて草津駅へと移動する。お兄さんにお礼を言って別れる。本当に草津の人は暖かくていい人だ。彼女にクンニくらいしてやれよと思いつつ、レッカー車とぶっ壊れた車のテールランプを見送った。

さて、確かに草津駅前は都会だ。でかい商業施設もあり、飲み屋街みたいなものも形成されている。しかし、いくら歩いて探してもネカフェがない。もう深夜ということもあってほとんどの店は閉店していて、フィリピンパブみたいなものしか営業していない。

この規模の駅前にネカフェがないってありえるのかと思いつつ、スマホを取り出して検索する。スマホはパケット通信の速度制限になっていて、インターネット初期の時代にプレイボーイのサイトでエロ画像見ていた時みたいな速度になってるんだけど、それでも頑張って検索すると、どうやら駅前には深夜に営業しているネカフェはないようだった。

YourFileHostを見てるときみたいな通信速度のスマホで頑張って検索したところ、どうも数キロ先までいかないとネカフェはないらしい。ホテルに泊まることも考えたが、明日、東京まで帰る電車賃を考えるといさかか心細い。やはり安いネカフェに泊まりたいと思った。

仕方ないので歩き出す。数キロ歩いた、ネカフェがあった。インターネットの怖いところは、ネガティブな情報が掲載されにくい、という点にある。例えば、〇〇が設置されました!〇〇がオープンしました!といったポジティブな情報はインターネットに掲載され、そのままずっと残る。けれども、〇〇は撤去されました。〇〇は閉店しました、みたいなネガティブ情報はあまり掲載されない。もうとっくに潰れたりしているのに、いつまでも開店の華々しいニュースなどがネット上では生き続けていることが多々ある。

つまり、いまこうして検索して出てきたけど、このネカフェが潰れていて整体マッサージの店に代わっていても何ら不思議ではないのだ。数キロ歩いてそれはきつい。祈るような気持ちで歩き、ヘロヘロになりながら問題の場所に到達すると、そこには燦然と輝くネカフェがあった。よくぞこの店を潰さないでいてくれた、草津の民へ感謝した。

なんとかネカフェに滑り込み、すこしばかりの休息をとる。隣のブースのおっさんのイビキがうるさく、それだけならばだいいのだが、どうも睡眠時無呼吸症候群らしく、数分に一度、イビキも呼吸も完全に止まるのでハラハラして全く眠れなかった。

朝になってネカフェをチェックアウトする。

とにかく、昨日と同じ距離を歩けば駅まで行ける。けれどもできれば歩きたくない。そんな思いが僕の中にあった。となりの無呼吸症候群のせいであまり眠れなかったし、昨日はいろいろなことがありすぎて疲れていた。とにかくバスに乗って駅まで行きたい。

結構歩いてきたとはいえ、このへんは普通に草津駅の勢力圏であるはずだ。バス停さえみつければ必ずや駅行きのバスがあるに違いない。幸いなことにネカフェの前は比較的大きめの道路だ、探せばすぐに見つかるだろう。

そう思って右往左往するのだけど、全然バス停が見つからない。下手したら探すために歩いた距離で駅まで行けたのでは?ってくらい歩いたのだけど見つからない。スマホで検索しようにも、もう通信速度がテレホタイム10分前にフライングして繋いだ時みたいになってるので検索しきらない。

いよいよ諦めて駅まで歩こうかとトボトボと歩き出したその時だった。目の前にバス停が!ついに救われた!やはり神はいたのだ。それも草津にいたのだ!急いで駆け寄る、うおー!一時間くらい待つぞー!それくらいバスを欲していたんだー!目の前に衝撃の光景が広がった。

f:id:pato_numeri:20161004105717j:plain

草津は俺を兵糧攻めにする気か。一日一本やないけ。

これならもう廃止にしちまえよ、出かけるために乗っても帰ってこれないじゃないかと思いつつ、それを許している草津の民の懐の深さを感じた。

さすがに5時間も6時間も待てないので諦めて駅まで歩きだす。草津の名誉のために言っておくと、その先にも「まめバス」と呼ばれるバスのバス停があり、そこそこ本数はありそうでしたが、結構時間が合わなかったので歩いていくことにしました。

こうしてなんとか草津駅に到達し、東京まで帰ることができたのですが、思うんですよね、草津の民の懐の深さってすごいなって。街の人はみんな親切だし、なんかすごくいい雰囲気が街にはあって、できれば駅前にネカフェがあってほしいんですけど、すごくいい街なんです。

今回はトラブルがあって草津に降り立ったわけなんですが、今度は最初から観光目的で草津に行きたい、そう思いました。なんといっても草津の人々は懐が深いですからね。

それにしても、高速で車から白煙が上がったときはびっくりして、まるで温泉街みたいだって思いましたよ。草津で温泉街みたいな白煙が上がったわけですから、まるで草津温泉みたいでしたね。

 

 

 

 

f:id:pato_numeri:20161004105446j:plain

 

アドバイスアドバンス

「ええ、ビックリしましたね。驚きましたよ。それはありえないって。ええ、確かにアドバイスしましたよ。なんだかすごい緊張してるみたいだから、ちょっと掴みのジョーク入れたらどうかってアドバイスしたんです」

「いやねえ、私も出過ぎた真似かなって思ったんですけどね。、もう見ちゃいられなくてアドバイスしたんですよ。なんだかブツブツと掴みのジョーク、掴みのジョーク言ってて気持ち悪いでしょ、普段から意味不明にブツブツ言ってる気持ち悪い人でしょ、いつか事件起こすんじゃないかって冷や冷やしてたわよ。だからアドバイスしたんですよ、あまりにベタなジョークは滑りやすいから、ブラックな感じにしたらどうかって」

「ああ、はい。言いました。ブラックな感じにしたらどうかって、ちょっと失礼くらいの紙一重のジョークが導入部分では最適かって思ったんです。僕はアップルとかのプレゼンを見てますけど、結構失礼な感じのジョークってうけますよ。聞く方は予想してないですからね」

「見ちゃいられない緊張でしたね、ブツブツと失礼なジョーク、失礼なジョークってうわ言のように呟いていて、だから言ってあげたんですよ、失敗したっていいんじゃないかって、確かに偉い人たくさんのプレゼンですよ。でも、座って聞いてるのは野菜だって思えって。神様レベルが聞いてると思ったら余計に緊張しますもんね」

「挨拶は大事だぞって言いました。掴みのジョーク入れるにしても挨拶の後に入れるべき、そう言いました」

「ミスった時のフォローが大切と言いました。一番良いのはミスをミスと感じさせないというフォローです。例えば、英語の綴りを間違えてると気づいたときに、もちろんすぐに訂正するのがベストなんですけど、そのままずっと間違えて行って誰も気づかなかったらハッピーじゃないですか、それくらい図々しい感じでいけって言ってやりましたよ」

「いつもの自分を出せって言ってやりました。日本代表だって自分たちのサッカーできなかったから負けたとか言うでしょ、いつもと違うことやろうとするからボロが出るんですよ。だからいつもの自分でいい。何も演出する必要はないって言ってやりましたね」

「わたし?わたしはいつもそうですが、好きにやってこいって一言だけアドバイスですよ。信頼してますからね。そう、あのプレゼンは確かに大切でした。ものすごいメンツが聞いてますからね。でも、いちいち口を挟んでも仕方ないでしょう。好きにやってこいと言いましたよ。ただまあ、少しだけテクニックは教えましたね、一番前に座ってる人の良さそうな人を弄るとけっこうウケるぞって。え?わたしが悪いんですか?まさか」

「ええ、そうなんです。なんかみんなにアドバイスもらっちゃって。自分ってもしかしたら結構愛されてるのかなって思ったんです。でもね、アドバイスって基本的に適当なこといってるんですよ。結局は他人のことですからね。そう痛感しました。そう、あんなことになるなんて……。ええ、自分が悪いのは分かってます。確かに緊張しすぎでした」

満員の観衆、その全てがグレーや紺の色使いであることが少し面白かった。全員が落ち着いた色のスーツを着て座っていて、ポマードとトニックと防虫剤の匂いが充満している、そんな空間だった。この空気を缶詰にして売り出したら、少し父性を求めているOLなんかに売れるんじゃないか、そう思った。

会場の照明が少しだけ落とされる。落ち着いた色合いの人々も一斉に談笑をやめ、こちらを向く。今度は真っ黒な頭髪だけが綺麗に並んでいる状態になった。黒、黒、黒、白が少し入った黒、黒、黒、肌色、黒、黒、肌色といった塩梅だ。

司会者によって僕が紹介される。いよいよ出番だ。緊張で胸が高鳴る。沢山のアドバイスを心の中で復唱しながら登壇した。「掴みのジョーク」「ブラックな感じ」「失礼な感じ」「聴取は野菜」「挨拶」よし、行くぞ!ついに登壇し、マイクに向かって第一声を発した。

「おはようございます、クソ野菜ども」

例えば、ほとんど人が入ってこないような森の奥深くに入ったとしたら、そこは無音だろうか。いいや、きっと音がする。野鳥が鳴いているかもしれない。どこかで水が流れる音がするかもしれない。風の音が、空気がそっと動く音だって聞こえるかもしれない。人が立ち入らない森の奥だってそうなのだから、きっとこの世には無音の場所なんてない。こんな考えが嘘だと思えるほど、会場は静まり返って無音だった。

(無音の場所がこんなところに)

そんなこと言ってる場合じゃない。ウケなかった、滑って、それどころかざわつきすらなく完全に無音、すべったどころの話じゃない。

(ここはやっちまったのだから謝った方が)そう考えた刹那、またアドバイスが心の中でリフレインした。「ミスった時のフォローが大切、そのままいけ」そう押し通すべきだ。ここで謝ったら単にバカな人じゃないか。ここで押し通し、自分はこういう発言を演出として用いているとわからせるべきだ。

「なんだあ、元気ないな。あれか野菜は野菜でも腐った野菜か」

遠くで小鳥がさえずる音が聞こえた気がした。

京都東山区にある三十三間堂には1001体の千手観音が並んでいる。俗に「三十三間堂の仏の数は33033体」といわれるが、これは全然数が足りない。実は、法華経などには観音菩薩が33種の姿に変じて衆生を救うと説かれている。つまり、この1001体の観音が33の姿に化身するので1001×33で33033体なのである。お偉い聴衆たちはまるで三十三間堂の観音のように微動だにしなかった。そうだ、京都に行こう、まるで三十三間堂にいるような錯覚に陥った。

もう何が起こってるのか分からなかったが、とにかくまたアドバイスがよみがえった。「いつもの自分を出せ」「一番前の客を弄れ」よし、あのハゲチャビンを弄ろう。いつもの僕を出して弄ろう。

「ちょっとーなに、その表情は、まったくもー、僕がアメリカの凄腕ハッカーだったらハッキングであなたの素性を丸裸にして、ブリトニースピアーズの名義であなたの家で勝手にパーティーを催すよ。ったく、それくらいのことだよ、これは。でもね、僕はアメリカのハッカーじゃないんですよ。ブリトニースピアーズでもない」

もうレベル高すぎて意味わかんねえよ。

1001体の三十三間堂の観音たちはやはり微動だにしなかったが、何体か阿修羅っぽいものが混じってるような感じだけは読み取れた。

そこからは何とか取り繕ってプレゼンをしたらしいけど、あまり覚えていない。ただ、僕の次にプレゼンをした爽やかそうなイケメンが、すごい丁寧に挨拶してプレゼン初めて、合間に挟んだちょっとしたジョークとかすげえつまらないのにドッカンドッカンウケていたのだけは覚えている。

アドバイス、それは本当に親身になってされている場合でも、結局は何の役にも立たない。所詮、人は人、他人から発せられる言葉は小鳥のさえずり以上の意味を持たない。本当にその人をすべて理解し、状況も、それまでの心情も、全て理解したうえでアドバイスすることなどほとんどないのだから、言葉は悪いが、適当に言ってるにすぎないのだ。それを真に受けすぎると、とんでもないことになる。本気で言っているアドバイスなどほとんどないのだ。

ただ、この会合が終わった後、結構偉い人に、ジョークっぽくも結構真顔で言われたアドバイス、

「次の仕事探した方がいいんじゃないか?」

これは結構本気のアドバイスだったと思う。

琉球大学の悪魔

少し大きめの国道をひた走っていると、なんでこんなところにこんなお店が?と言ってしまいたくなるような店舗に遭遇することがある。それはブティックだったり、電気屋だったりするのだが、いずれも街中で見ればそれほど違和感を感じないのに、違和感ありまくりの山の中にポツンとあったりするのだ。

こんな山奥でマダム系のブティックが成り立つのだろうか。山奥といってもちょっと頑張れば町に出られて大型家電量販店で買えるというのに、この電気屋が成り立つのだろうか、そのような疑問が沸々と湧き上がってくる。失礼なのは十分承知で言うが、やはり採算が取れているとは到底思えない、そんな店舗が確かに存在するのだ。

もしかしたら、それらのうちのいくつかは「信念」に基づいているのかもしれない。それが人のためなのか、自分のためなのかは分からないが、何かしらの信念に基づいて店を開けているのかもしれない。この店がなくなったらこの街に店が一つもなくなってしまう、自分が守らねば、たった一人でもこの店をあてにしてくれているあのお婆さんのために開けておかなければいけない、都会にいった息子が夢破れて帰ってきても継げるように、そんな様々な信念があるのかもしれない。

信念とは時に残酷なものだ。しかし、そこに信念があるのかないのか、思いの有無はあらゆる場面で重要になる。

僕が大学生の頃だった。当時は世間一般にやっとこさインターネットってやつが普及していた時代で、みんなその便利さや物珍しさに夢中になっているような時代だった。特に大学生はそういった新しい便利なものに敏感で、インターネットの世界にはそういった敏感な人が多くいたような感じがした。

その時、僕が夢中だったのは大学生が集まるという名目のコミュニティサイトだった。全国各地から大学生がやってきてお互いにコミュニケーションをとる、掲示板やらチャットやらがあるサービスだった。特に僕はチャットルームってやつに夢中だった。

そこは暇な大学生なので、チャットルームに行くと昼だろうが夜だろうが必ず何人かの人間がいた。そこでとりとめのない話をするのが何とも心地良かった。

しかしながら、平和というものは長くは続かない。ただ漠然と雑談をしているだけの平和な大学生チャットを打ち破る悪魔が襲来した。それが「琉球大学の悪魔」である。そう名乗る彼は、今で言う「荒らし」行為により平和なチャットを恐怖のズンドコに叩き落す存在だった。

彼の荒らしの手法は独特で、チャットでどんな会話をしていようが何だろうが文脈や空気に関係なく、「うんこぶりぶり、ぶり、でるー!」としか書き込まないことだった。挨拶すらしない。とにかくその発言しかしなかった。具体例をあげると以下のようになる。

佐和子:「こん」

カズキ:「こん」

佐和子:「あーやっとテスト終わったー、死んだー」

カズキ:「お疲れ(笑)」

佐和子:「絶対2つは落としたと思う(笑)」

カズキ:「ドンマイ」

佐和子:「でもこれで夏休み!」

カズキ:「そうそう、覚えてる?夏休みになったら俺に会ってくれるって」

佐和子:「覚えてるけど……」

カズキ:「けど?」

佐和子:「恥ずかしい」

カズキ:「なんだそりゃ」

佐和子:「だって、わたしかわいくないし、カズキみたいなもてる人と釣り合わないよ」

カズキ:「もてねーよ(笑)」

佐和子:「だからちょっと会うの怖い(笑)」

カズキ:「大丈夫。俺だって怖いけど、それでも佐和子に会いたい。もうバス取っちゃったし(笑)」

佐和子:「えー、とっちゃったんだ。うーん、じゃあ仕方ないかな」

カズキ:「よろしくお願いします」

佐和子:「うん」

カズキ:「会ったら俺、佐和子に伝えたい事あるから」

佐和子:「カズキくん……」

カズキ:「俺、俺、佐和子のことが」

琉球大学の悪魔:「うんこぶりぶり、ぶり、でるー!」

いつだってこんな感じだった。

当然、気味悪いし、意味不明だし、雰囲気ぶち壊しだし、で、琉球大学はどんな悪魔を飼ってるんだて話になり、この琉球大学の悪魔はチャットでも嫌われるようになっていった。彼がチャットに来ると不自然なくらいにみんなが退室していくのだ。会話が盛り上がっていても悪魔が来たら退室する、次第に彼は憎悪の対象となっていった。多くの人が移住を検討し始めるまでに至っていた。

ただ、僕は、この琉球大学の悪魔のことをあまり憎めなかった。なぜならセンスがあるからだ。「うんこぶりぶり、ぶり、でるー!」という言葉だけで荒らす彼の手法は多分にセンスがある。これが「うんこぶりぶり、でるー!」だけであったら、彼はその辺の荒らしであっただろうが、ぶりぶりの後にもう一個ぶりをつけるセンスは普通じゃない。なんだかそれは単に荒らし行為とは一線を画した魂の叫びのようなものを感じたからだ。

琉球大学の悪魔がくると、それまで盛り上がっていたチャットがピタリと止まり、みんな退室していく。自然と僕と悪魔が二人っきりになることが多かった。そこで僕は彼の心の叫びを聞くべく、積極的に話しかけてみた。

ゴンザレス田中(僕):「よう」

ゴンザレス田中(僕):「なんでうんこぶりぶりしか書かないの?」

ゴンザレス田中(僕):「おれは君のそのセリフにはすごくセンスがあると思ってる。よかったら何を考えてるか聞かせてほしい」

ゴンザレス田中(僕):「君を糾弾するとか、荒らしをやめろとかそういうのじゃないんだ。君が何を思い、何を知って欲しいのか知りたいんだ」

僕の問いかけに、琉球大学の悪魔はこう答えた。

琉球大学の悪魔:「うんこぶりぶり、ぶり、でるー!」

もはやこれは荒らしを超えた何かで、僕なんかには想像もつかない確固たる何かがある、そう感じた。

それから数日経ってのことだった。いつものようにチャットルームに巣食って女子大生とヤリチンの会話を眺めていると、やはり琉球大学の悪魔がやってきた。サッと波が引くように人々が退室していき、すぐに僕らは二人きりになった。

ゴンザレス田中(僕):「エロい会話始まりそうだったのにタイミング悪い」

琉球大学の悪魔:「うんこぶりぶり、ぶり、でるー!」

彼は同じセリフしか言わなかったが、「すまんな」そう言っているように見えた。全くいつもと変わることのない風景なのだけど、この日は少し様子が違った。

入室:「琉球大学のアケミ」さんが入室しました

チャットのシステムが入室者をアナウンスした。悪魔の動きが止まったようにみえた。

琉球大学のアケミ:「あー、やっぱりいた!」

琉球大学のアケミ:「ちょっとー!どういうこと!ミサの気持ちも考えてあげてよ!」

琉球大学のアケミ:「ねえ返事して」

入室者は矢継ぎ早に発言をしていった。どうやら悪魔に向けて言っているようだった。名乗っている大学名が同じことと、会話の内容から、おそらく悪魔の現実の知り合いがチャットルームにやってきたようだった。

アケミを落ち着かせ話を聞く。悪魔は狼狽しているのか、ずっと黙ったままだった。なんでも、アケミは悪魔の現実の知り合いらしい。そこで、その現実の悪魔のことを好きなミサという女の子が悪魔に告白をしたらしい。好きだと伝えたらしい。

しかしながら、悪魔は逃げた。返事も言わず逃げた。ミサは泣いてしまい、それに怒ったアケミが悪魔の友人を問い詰め、悪魔はここのチャットルームに常駐しているという情報を聞いてきたらしい。一気にチャットルームがドタバタ青春ラブコメの匂いで満たされてきた。

琉球大学のアケミ:「なんで逃げるのよ!」

琉球大学のアケミ:「高橋君に聞いたけど、あんただってミサのこと好きだったらしいじゃない!なんで逃げるの?」

琉球大学のアケミ:「自分の好きな子をほっといてこんなチャットルームで」

アケミの問いかけに悪魔は沈黙していた。ただ、あらゆる会話に対して常に荒らし行為で応戦していた彼がこれだけ沈黙している、それはもう答え合わせに近かった。彼はミサの告白から逃げたのだ。

ゴンザレス田中(僕):「なあ、告白とかはちゃんと対応したほうがいいと思うよ、悪魔」

僕もそうやってフォローするのだけど

琉球大学のアケミ:「関係ない人は黙ってて!」

そんな僕をアケミは一刀両断。アケミのヒートアップは止まらない。

琉球大学のアケミ:「まあいいわ。もうすぐここにミサがくるから。ちゃんと答えてあげて」

なぜ悪魔は退室しないのだろう?そんな疑問が僕の中に生まれた。沈黙するくらいならこのチャットルームから逃げてしまえばいい。なのに彼は逃げない。どうしてだろうかとただただ疑問だった。

アケミから一方的な言葉が続き、それからしばらくすると、この事態のクライマックスを迎えるキーパーソンがついに入場してきた。

入室:「ミサ@うさぎ」さんが入室しました。

名前の後にうさぎをつけるあたり、かなりあざとい女である。

琉球大学のアケミ:「ミサ、この琉球大学の悪魔ってやつが満田だよ。思いをぶつけな!」

ミサ@うさぎ:「うん」

彼女たちにはそれぞれ信念があった。人を好きになる気持ちも、それを応援しようという気持ちも、それは信念である。彼女たちの信念の前では悪魔の本名が満田だとバラされたことなど些末なことなのである。


ミサ@うさぎ:「私、やっぱり満田君のことがすき。付き合ってください」

ミサはその信念に基づいて言った。聞けば満田だってミサのことが好きだったらしいじゃないか。もういいんだ。付き合ってあげなさい。まったくお前ら見てるとイライラするぜ、早く付き合っちまえよ、って発言するドラマの脇役みたいな気持ちでチャット画面見守った。そして、ついに満田が発言する。

ミサの純粋な思いからの信念、アケミの友を思う真っすぐな信念、それらに応えるべく、ついに満田が動いた。

琉球大学の悪魔:「うんこぶりぶり、ぶり、でるー!」

出してる場合じゃねえぞ、満田。

彼はここでも琉球大学の悪魔を貫き通したのである。

琉球大学のアケミ:「だめだこいつ、救えないね。もうほっとこう」

ミサ@うさぎ:「うん」

琉球大学の悪魔:「うんこぶりぶり、ぶり、でるー!」

もういい、もういいんだ、満田。いや、琉球大学の悪魔。お前は最後まで悪魔だった。お前は良く戦った。いつもと同じ発言だったがディスプレイの向こうで涙ながらに悪魔が文字を打っているのが分かった。なんだかこちらのディスプレイもぼやけてよく文字が見えなくなっていた。

退室:「ミサ@うさぎ」さんが退室しました。
退室:「琉球大学のアケミ」さんが退室しました。

無常なる文字が表示されていた。

ゴンザレス田中(僕):「俺は結構満田のこと好きだよ」

僕がそう発言すると、彼はやはりこう答えた。

琉球大学の悪魔:「うんこぶりぶり、ぶり、でるー!」

彼にどんな信念があったのかわからない。けれども彼は決めたのだ。このチャットではうんこの発言しかしないと決めたのだ。そこに好きな女が来ようが、告白して来ようが、彼は信念を曲げなかった。そんな彼を荒らしと断罪することなどできやしなかった。

今でも町外れの何で営業しているのか分からない店舗を見ると、琉球大学の悪魔を思い出す。もしかしたらこの店は彼のような信念で営業しているのかもしれない。採算が取れるとか、そういったのとはもう次元が違うのだ。そう、彼らはそう決めたのだから、それを実行している、それに過ぎないのかもしれない。

「頑張って営業してな」

心の中でそうつぶやくと

「うんこぶりぶり、ぶり、でるー!」

どこかからそんな声がきこえてきたような気がした。

都市伝説は君のそばに

都市伝説というものに目がない。

古くは「口裂け女」などに代表される、口頭で伝えられる噂話や伝承の一種で、早い話が口コミだ。人から人に伝えられる情報、そういった意味では食べログとあまり変わらないのかもしれない。

都市伝説という単語は、1988年、ジャン・ハロルド・ブルンヴァンの著書「消えるヒッチハイカー」を日本語訳した際に「Urban Legend」という単語を翻訳したのが最初だと言われている。この「都市」にかかる部分は、何も都市で起こる不思議なことを指しているわけではなく、都市化された近代の、という意味合いが強いらしい。

つまり、伝説や昔話など、古い時代から語り継がれてお話ではなく、近代になって語り継がれるようになったお話ということらしい。

インターネットが存在しない時代、人々の情報はテレビか新聞、そして伝聞であった。一方的に垂れ流されるメディアの情報と違い、伝聞は伝える側と伝えられる側、双方の意思が介在する。何らかの意図があって情報が伝えられるわけだ。

そういった意図を持った情報の伝搬、その集大成が「都市伝説」なのである。つまり、蔓延するこれらの情報は必ず何らかの意図があるわけだ。そう考えるとなかなか興味深い。

例えば代表的な「口裂け女」なんてのは、遅くまで遊んでいるとそういった恐怖が襲来してくるという子供たちへの警告みたいな意図が容易に想像できるし、伝播の過程においても「怖がらせてやろう」という意図が確実に読み取れる。

「○○公園に恋人同士でいくと別れるから行ってはいけない」なんていうほのかな都市伝説も、その、あれですね、言いにくいですけど、けっこうモテない人のやっかみみたいな意図があったはずなんですよ。もしくは浮気している男がいて、女の方は遊ばれてるってことに気付いてなくて、有名なデートスポットに行こう行こうと言ってて、でも男はそんなところ言ったらバレちまう、行けない理由を考えないと、そうだ、行ったら別れるって噂があることにしちまおう。

「なんかさ、○○に好きな人といくと別れるって都市伝説があるらしい。おれ、佐和子と別れたくないよ、行きたくない」

「ジュンクン……」

こんな意図があるのかもしれません。

こういった都市伝説の伝播は間違いなく意図が介在するのですが、その中でも最も大きいものが「おもしろいから」なわけなのです。こういった嘘が出回ったら面白いだろう、これに右往左往する人を見て楽しもう、そんな愉快犯的意図が最も多いわけなのです。

もう随分と昔の話で、まだ僕が自分の車を所有していた時の話なのですが、意気揚々と職場へと出勤すると、職場のブスがすごい発狂してました。彼女は都市伝説マニアというかそういった噂話に敏感に反応するタイプの女性で、勝手に心の中で「都市伝説潮吹き女」と呼んでいるのですが、志村けん死亡説みたいな都市伝説が流れた時は8時だよ全員集合の全集を見ながら勝手に追悼したタイプの女性でした。

そんな彼女が、またもや入手した都市伝説を手に大騒ぎしていたのです。

「いま、関西から当たり屋グループがこの地区に来ているみたいです。気を付けてください!」

車なんかがわざと当たってきて賠償しろと金品を要求してくる当たり屋、それを組織的にやっているグループがこの地方に攻めてきた、みたいな内容でした。

実はこれ、田舎町では定期的に流れる噂話で、完全に都市伝説の類なのですが、なぜかいつ流れてきてもこの噂は「関西の当たり屋グループ」なんですね。関西人にはそういう気質がありそう、というイメージなのでしょうか。

「気を付けてください!これが私が入手した当たり屋グループの車のナンバーです。これを見かけたら注意です」

この都市伝説の怖いところは、いつも複数台の車のナンバーが当たり屋グループのナンバーとしてセットで回ってくることです。これがあることでまるで本当のことのようなイメージが出てくるのです。

「今回の当たり屋グループは悪質で、土地とか全部取られてしまった人もいるみたいです」

ブスがナンバーの一覧を解説してくれます。一覧に並ぶ車のナンバーは「なにわ」ナンバーとかが列記されていて、こういっちゃなんですがいかにも本当っぽい。なんやこらー!とか言いながら金品を要求してきそう。なんだかなーって思いながらずらーっとナンバーを眺めていると、一覧の最後にとんでもないものが。

なんてことはない、普通のナンバーなんですけど、どこかで見覚えがあるような、どこかで見たような、つい最近も見たことあるようなナンバーがそこに記されているのです。

まさか、本物?

こういった噂話は眉唾物と決めてかかっていましたが、見覚えのあるナンバーがあることで急に信憑性が増してきました。まさか、このリストは本物なのだろうか。それにしても、このナンバー、見覚えがありすぎる。どこかでみた、絶対見た。このナンバー。

って、これ俺のナンバーじゃねえか。

そういえば、数日前に、職場のみんなでバーベキューに行くとか何とかで、車を出せる人、みたいな募集があって、僕も車を出すことになったのです。で、集合場所で分かりやすいように車のナンバーを申告したのですが、どうやらその申告したナンバーをブスがメモし、色々やっているうちに当たり屋グループの噂を聞いて急いでナンバーをメモしたんでしょうね。で、リストに僕のナンバーが混じってしまった。

「あの、これ、俺の」

と言いかけたんですけど、ブスは発狂してて

「もう私怖くて怖くて、思いつく限りの知り合いにリストまわしました!市役所にも言ったし、警察にも言いました!」

と大発奮。

「あの、このリスト」

「この中には事故した後に目が見えなくなったと言って法外な値段を請求してくるボス格の当たり屋がいるらしいです。そいつは本当に要注意です」

と完全にリミットブレイクした状態だったので言っても無駄だろうと思い、そのまま業務開始となりました。

仕事も終わり、さあて、帰ろうかなと駐車場に向かうと、件のブスの姿が見えました。

「あ、お疲れさま」

「あ、お疲れさま」

互いに労いの言葉を掛け合い、ブスは軽自動車に乗り込みます。僕も自分の車に乗り込もうとすると、ブスが思い出したかのように話しかけてきます。

「あの、当たり屋には本当に気を付けてくださいね。なんならもう一度ナンバーのリストを見てください」

と言いかけて、何かに気付いたのです。そう、リストにあるナンバーと僕のナンバーが同じということに。

「あ、ちょうどよかった、あのリストなんだけど……」

僕がそう言いかけたところで彼女は叫びました。

「当たり屋ーーー!」

なんでやねん。このブス。

結局、何度か説明し、おそらく僕のナンバーをメモした紙の上にさらに追加で当たり屋のナンバーをもメモしたらしい、ということで理解してもらえたのですが、もうブスがかなりナンバーリストを回した後だったので、しばらくは僕、関西から来た大物の当たり屋グループってことになってました。

噂や伝聞、というものはそこに何かしらの意図が存在します。むしろ、意図の存在しない情報は存在しません。噂話を広めるときは、その裏にある意図を読み取り、これは誰かの悪意などの手助けをしてるのではないか、誰かを困らせないか、一度そう考える必要があるのです。昔と違い、簡単に情報が伝わる現代だからこそ、そこに注意しなくてはならないのです。

ちなみに、いつの間にか関西の当たり屋グループの一員となっていた僕の車のナンバーですが、いつの間にか尾ひれがついて、その地方のナンバーをつけて偽装する、ボス格ってことになってて、目がないと主張してくる最重要危険当たり屋、として何回か通報されたらしくパトカーに停められました。

都市伝説には目がないと冒頭で言いましたが、まさか都政伝説で目がないことにされるとは。困ったものです。

 

 

 

f:id:pato_numeri:20160908113346j:plain