あまりにも仕事に行きたくないのでログインボーナス作った
仕事に行きたくない。
そういうと「じゃあ仕事やめればいいじゃん」と言い出す人がいるが、それはあまりに短絡過ぎるのではないだろうか。童貞で悩んでいる人にじゃあセックスすればいいじゃんとアドバイスしているのとそう大した違いはない。明らかに短絡的だ。仕事嫌だという申し出に、すっと退職願を差し出す短絡さはあまり発展性がない。できればご遠慮いただきたい。
声を大にして言いたい。僕らは、定職をキープしつつ、それでも仕事に行きたくないと言いたいのだ。仕事がなくなれば快楽天も買えないし、飯にも困るし、なによりすることも金もなくずっと家にいたって暇でしょうがない。辞めるつもりはないけど仕事は嫌だ。別れるつもりはないけど都志夫への不満を口にする佐和子みたいなものだという理解を持って読み進めて欲しい。
さて、そういった「仕事に行きたくない」という思いだが、どうにかして解消しなくてはならない。さすがに、行きたくない気持ちを抱えて仕事をするよりは、仕事が楽しくてしょうがないみたいなラリった状態までいかなくとも、まあ、行ってもいいかな、くらいにしておけば精神的障壁を低く抑えることができる。たぶんストレスも低減してきて健康体で日々を過ごせるのではないかと思う。
では、なぜ仕事に行きたくないのかを考えると、これはもう、楽しくないからに尽きる。ジョイフルではないのだ。ここで注意しなくてはいけないのは、仕事自体が楽しいだとか楽しくないだとか、そういった次元の話をしているのではない。仕事なんてのはつまんなくてもするもんだ。じゃあなにか、仕事以外の楽しみがないのだ。
そこで、スマホゲームに夢中の後輩に話を聞いてみた。
「仕事以外になんか日々の楽しみとかないかな」
「わかんないっすね」
彼は何らかのスマホゲームに熱中しながらこちらを一瞥もせずに答えた。どうも、複数のスマホゲームをプレイしており、時間ごとに訪れるバトルリーグみたいなものに参加するのに忙しいようだ。
「いやさ、こう、職場に来たくなるような日々の何かがあるといいんだけど」
「そんなに仕事嫌なら辞めたらどうっすか」
ここにも短絡的な男が一人いたのだ。だから、辞めるとかそういう話じゃない。辞めない、辞めないよ。そうじゃなくて、職業はキープしつつ仕事への不平不満を言いたいわけよ。わかってないなー。そういう短絡的なところ嫌いだなー。
「まあ、僕ももう少ししたら辞めるつもりっすけど。あ、こっちのゲームのログインボーナス回収しないと。最近しょぼいんだけどなー」
後輩の発言に頭がカチ割られる思いがした。「もう少ししたら辞めるつもり」の部分は別にどうでもいい。問題はその後に続く、「ログインボーナス」の部分だ。
多くのスマホゲームは、ユーザーに継続してログインしてもらい、末永く楽しんでもらった上で課金なりなんなりをしてもらうことを目的としている。最初に熱中してゲームをプレイしてもらったのに、その後全くログインされないという事態を防ぐため、「ログインボーナス」なるものが準備されていることが多い。
これは、一日一回ログインすると、ゲーム内で使用できるアイテムや何かがプレゼントされる仕組みだ。連続でログインするとそのプレゼントが徐々に豪華になっていくシステムのところも多い。そうすることでユーザーに毎日ログインさせ、いつしかそれが習慣化し、気が付いたらどっぷりとゲームにはまっている状態にしよう、そういう意図がある。
では、これを日々の生活に導入したらどうだろうか。
飽きてしまったゲームもログインボーナスを貰えるからと、とりあえず一日に一回はログインしておくユーザーも多い。ということは、例えば職場に馳せ参じることができたら何らかのボーナスがもらえるようなシステムがあれば良いのではないか。もちろん僕たちは日々職場に来ることでお給料をもらっているわけだが、それよりもダイレクトに何らかの特典があれば、それが例え些末な物であったとしても、きっと仕事が嫌な気持ちも少しは和らぐのではないか。
ということで、誰もそういったものを準備してくれるわけではないので、自分で仕事に来たらもらえるログインボーナスを準備することにした。
初めに、なぜか家に大量にあまってた、100円ショップの「三連パック」というものを複数準備した。
これをこのように並べる。
そして、日付を張り付けてこうなる。この日付は、祝日が一切存在しないことで悪名高い6月のものを採用した。この月が最も仕事に行きたくない気持ちが昂ると予想されるからである。これに自分が用意したボーナスを投入し、あとは何を入れたか忘れるくらい月日が経てば、ログインボーナスの完成である。
さて、本来なら6月になるのを待って、この日々のログインボーナスを消化していくのが筋だが、もうそこまで待てないので、今日は特別に6月になったつもりでこのログインボーナスを一気に消化してみたい。
まず、6月1日、今日から暗黒の6月かと重い足取りでログイン(出社)すると、ログインボーナスがお出迎えだ。さっそく、6月1日のボックスを開ける。
中からはなんと、キャンディが!これは嬉しい。
2日もログイン(出社)すると、中からはお菓子が!
こういったちょっとした幸せはなかなかに良い。明日は何が入っているんだろうと楽しみも倍増してくる可能性もある。我ながら良いものを作った。
ログイン(出社)する必要のない土日のボーナスも作ったのにはわけがある。もちろん地獄の休日出勤も想定してのことだが、それ以上に月曜日は何かと憂鬱であることを考慮している。普段から重い足取りであるのに、これから地獄の1週間が始まると思うと、とんでもなく憂鬱になってしまう。月曜日とはそういうものだ。けれども、月曜日は土曜日と日曜日、三日分のログインボーナスを獲得できるとしたら?
そう、ちょっとログイン(出社)してみようという気持ちになってくる。
ログインボーナス一挙獲得!大量のお菓子があなたの手に!これはちょっと月曜日も頑張ろうという気持ちになってくる。
手を変え品を変え、ログイン(出社)するたびにお菓子をもらえるわけだが、2週間も経過すると飽きてくる。まあ、最初は喜んでみましたけど、まあ僕だっていい歳したオッサンですからね。正直なこと言うとお菓子、そんなに嬉しくないですからね。いい加減、お菓子のログインボーナスにも飽きてきたなー、別にもうどうでもいいやーってなってきたところに、これですよ。
颯爽と15日を開けると、
130円。現金ですよ。
これでジュースでも飲んで頑張れよ、ということでしょうか。まあまあ嬉しい。ログインボーナスがお菓子ではなくなった。じゃあ、次の日はどうなるのかとドキドキしていると
500円。もう金で黙らせにきてますね。当然次の日は
1000円札です。ちょっと良い昼飯でも食って頑張れよということでしょうか。なかなか生々しい。それでも、今までのログボでこれが一番うれしい。けれども、これってなんかちょっと違うんですよね。過去の自分が何を思って投入したのか知りませんが、お金が欲しいならお給料という形で貰えますからね。しかも、金が出てきて得したって一瞬思いますけど、突き詰めると自分の金ですからね。過去に自分で入れた自分の金ですからね。そこに気が付くとあまりうれしくなくなる。
現金を入れることの虚しさに気づいたのか、21日には様子が変化します。
お菓子に逆戻り。完全にネタ切れです。もう何を入れていいのか訳わからなくて錯乱状態だったんだと思います。このまま月末までお菓子が続くかと思われたのですが、翌22日からとんでもないことが起こります。
パカッ!
は?
パカッ!
は?
パカッ!
は?
三連続で石が入っているという狂気。こいつ狂ってんのか。
これもしかして、ガチャとかができる魔法石のつもりなんですかね。過去の僕はこんなもん貰って本気で僕が、よし明日もログイン(出社)すっぞ!と闘志を燃やすとでも思ったんですかね。ずいぶんとおめでてーな。
ガチャなんてできるわけないのでゴミ箱いきです。ふざけんな。
お菓子では満足しない。現金もなんか違う、石も論外。完全にネタ切れでどうしていいのか分からなくなっている心情が読み取れますが、それでもログインボーナスは投入しなければなりません。次の日はいったい何が入っているのか。
27日月曜日は3日ぶんのログインボーナスを一気に回収できる特異日です。ネタ切れの状態で何を投入してくるのか期待が高まります。
パカッ、パカッ、パカッ!
手紙が三つ?
また新たな手法で来たな。なんだろうと開けてみると
25日「がんばれ」
26日「がんばれ」
27日「がんばれ」
これ、狂ってますよ。なんなんですかこれは。武田鉄矢か。もうちょっとなんかあるだろ。あまりにもふざけすぎてる。完全に空いた枠を適当に埋めただけじゃないか。
さあて、気を取り直して先に進んでいきましょう。
なんかもう、全然ウキウキしてこないんですけど残すところあと3日です。いったい何が入っているのか。
また手紙。今度はなんでしょうか。
「祝日のない6月ももう少しで終わる。でも、」
ここまでよく地獄の6月を耐え抜いた。という労いの気持ちが見て取れる。なかなかいいメッセージじゃないか、と思う反面、「でも、」と文章が続いているのが気にかかる。何か次に言葉が繋がるのか?いったい何が言いたいのか?もしかして、続きは次の日のログボで明かされるのか?
ドキドキしながら29日を開けます。
やはり手紙が。昨日の続きに違いない。「祝日のない6月ももう少しで終わる。でも、」の続きは、そこまで6月も悪いもんじゃないとか建設的意見なのか、それとも、ここまでの頑張りを褒めたたえてくれる内容なのか、空が綺麗だっただろうとか意味不明なポエムが続くのか、いったい、何が!?
「7月も中旬まで祝日ないから」
嫌がらせかよ。
分かってるけど今そういうこと言う場面じゃねえだろ。なんだよ、コイツ。本当に仕事に行きたくなることを目指したログインボーナスだってこと分かってんのか。あと、紙の切り方雑すぎるだろ。面倒になってるだろ。
残すところは30日のみ。いよいよ最終日ですが、ここまででログインボーナスは大失敗。すごく仕事に行きたくない気持ちが高まってきています。もう仕事に行きたくない。くううううう、と思いながらラストのログインボーナスをあけると。
また紙です。嫌な予感がしますが開けてみると
退職願
ふざけんじゃねえよ。短絡的すぎるだろ。なんで仕事に行きたくなるように設定したログインボーナスなのに過去の自分から退職を勧められないといけないんだ。
たぶん、もうここまでしなきゃ仕事に来たくないんなら辞めたら、と過去の自分も愛想をつかしたんでしょうね。全然わかってない。短絡的すぎる。
ということで、仕事に行くのが楽しくなるように設定したログインボーナスですが、人間の欲望は計り知れません。お菓子で喜んでいるうちはいいのですが、先に進むと欲望に追いつけなくなり、ネタ切れが起こります。最終的には自分から退職を勧められることもありえます。ご注意いただきたい。
できることなら、こういった分かりやすい形でなくとも、何らかの心理的なログインボーナスを見つけ出し、ちょっと仕事にくるのが楽しくなるような日々の楽しみを見つけ出したいものです。
<追記>クリスマスまでの24日をカウントダウンするアドベントカレンダーと言うものがあります。こちらも利用してみてはいかがでしょうか。