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すき家のことが

すき家に対する好感度がうなぎ上りである。

これは別にこれから土用の丑の日に向けて牛丼チェーン各社がうな丼に力を入れてくることから、ちょっと上手いこと言おうとうしたわけではない。単純に好感度が上がっているのである。

まず、すき家は基本的に店舗数がかなり多い。これはかなりすごいことで、日本中、どんな片田舎に赴いたとしてもそこにはすき家があるのだ。これはなかなか重要なことだ。

例えば、あなたが知らない街に住むことになったとしよう。そこは気候も文化も街並みも、雰囲気すらも生まれ育った町とは違う。まさか自分がホームシックになるなんて思いもしなかった。6畳のアパートに一つの段ボールが届く。お母さんからだ。お母さんはレトルト食品やちょっとしたお菓子なんかをぎゅうぎゅうに詰めて送ってくれていた。まさか自分が段ボールで泣くなんて。こんなものまで入れなくても、でも、お母さんの気持ちがうれしかった。同時に寂しい気持ちも沸き上がった。佐和子はあてもなく街に出る。そこはやはり知らない街だった。この町は私のいる場所なんだろうか。そこに光り輝くすき家の登場である。生まれ育ったあの町でも見たすき家。なんだか佐和子はほっとした。この町も、きっと私の町になるはず。もうちょっとがんばってみるね、お母さん。そう打ち込んだメールを送信まではしなかった。

もうここまでくるとあらゆる町にあるすき家は母の温かみですよ。母性ですよ、母性。聖母や。そりゃね、一時期はワンオペとか地獄の勤務条件とか話題になり、いまだにそれはあまり改善されていないような感じもするんですけど、僕にとっては母のようでけっこう落ち着く、それがすき家なんです。ということで言わせてもらいますけど、僕はすき家のことが・・・。やっぱり、あまりにベタなんで言うのやめときましょうね。もうちょっとすき家の魅力について語ってからにしましょう。

次に、すき家の魅力として挙げられるのがメニューの豊富さでしょうか。これだけ豊富ならば毎日昼飯に行ったとしてもウンザリすることはありません。なかでも、カレーのラインナップが充実しているのも大きな魅力でしょう。ドンブリ系ばかりだとちょっとウンザリしてきますから、今日はカレーにしておくか、みたいな選択肢を僕らに提示していくれているのです。そういった意味でも、今回こそはあえて言わせてもらうと、僕はすき家のことが・・・・。やっぱやめておきましょう。

で、僕のおススメはポークカレーをオーダーし、さらに追加で生卵オーダーです。超絶に個人的見解ですけど、すき家のカレーは生卵に合うように作られてます。たぶん、店員さんもそれがわかってて、ポークカレーと生卵、ってオーダーすると、こいつかなりの剛の者だぞ、こりゃあうかつなことできないぞってビビるはずです。ぜひお試しください。有名なカレーチェーンなどが生卵のトッピングを廃止していく中、普通にトッピングできるすき家、僕はすき家のことが・・・・、やめておきましょう。ベタすぎる。

そしてなにより、すき家の魅力は店員さんの気遣いです。本当にいい人たちばかりです。こんないい人たちをワンオペで苦しめるなんて言語道断です。より良い環境で働けることを願ってやみません。店員さんの人柄を語るうえで絶対に外せない一つのエピソードがありました。今日はそれを紹介しましょう。

いつものようにすき家に行き、今日は牛丼にすべきかそれともカレーにすべきか、ううん、今日はちょっとしっかり食っておきたいから牛丼かなって思ったんです。一応、もう心の中でオーダーする商品は決まってるんですが、メニューをパラパラめくりながら店員さんを威嚇します。店員さんも、あ、こいつ剛の者だなって分かりますから、少し緊張した空気が店内に張り詰めます。

そこで颯爽と牛丼大盛りをオーダー。牛丼は大盛りが攻守最強のオーダーです。完全に剛の者です。そうするとね、すぐ出てくるんですよ。これは一分一秒でドル相場みたいなビジネスシーンを生きている僕にはありがたい。すき家のこういうところがす・・・!やめときましょうね。

でもね、出てきたのがポークカレーだったんですよ。完全に店員さんが間違えてるんですね。たぶん、剛の者を前にして店員さんも気が動転しちゃったんでしょう。ここは呼びつけて交換してもらうべきなんでしょうけど、そこで思ったんです。

ひょっとしたら今日はカレーの気分だったかも。

店員さんもまた、剛の者だった可能性がある。僕がなんか雰囲気みたいなものに流されて牛丼をオーダーしたのではないか。本心ではカレーの気分だったんじゃないか。そこまで見抜かれていたのかもしれない。これだから人生は面白い。

もうこのままでいい。僕はカレーが食いたかったんだ。伝票を見るとしっかりとカレーと聖なる刻印が印字されていたので、不当に安い奴や高い奴を食べるわけでもない。もうこれでいいや、と食い始めたんです。

そしたら、対面に座ってるオッサンがやおら呼び出しボタンをぶっ壊れるかって勢いで連打して、怒鳴りだすんですね。お、なんだなんだ、とか思いながら見ていると、

「カレーを頼んだのに牛丼が来た」

ってクッソ怒ってるんですね。うわーこれやっちゃったな、たぶん、僕のオーダーとオッサンのオーダー取り違えたんだな。こりゃ悪いことしたなってすごい申し訳ない気持ちになったんです。

「どういうことかね。君じゃ話にならん、本部のものを呼べ」

とかオッサンは大車輪の勢いで怒ってるんですよ。僕も本当に申し訳ないことしたって小さくなりながらカレーを食ってるんですけど、オッサンは止まらない。

「あのね、カレーと牛丼を取り違えられて黙ってるなんて人間じゃない、獣だよ、ケモノ」

カレーと牛丼を取り違えられて黙ってうまうま食ってる僕はケモノですよ。

「私にケモノになれというのか!」

みたいに怒ってるんですよ。おいおい、オッサンの対面ではケモノがカレー食ってるぞ!

そのままオッサンは怒って帰っちゃったんですけど、なんか申し訳ない気持ちになっちゃってね、僕がカレーが来た時点で申し出てれば間違いに気づいて店員さんは罵られることもなかったわけじゃないですか。あまりにバツが悪いんで、お会計の時に

「すいません。僕がケモノだったばっかりに」

とか言ったんですよそしたら、店員さん、

「お客様はケモノではございません。お騒がせして申し訳ありません。オーダーも間違えてしまって」

このケモノめにはもったいなきお言葉。この時、ケモノは心に決めたのです、いつかすき家のことを褒める記事を書こうと。

こういった諸々のことを含めてですね、僕はすき家のことがすっ・・・!やっぱやめておきましょう。ベタすぎますからね。

すき家の魅力は、テーブルに置かれた調味料にもあるでしょう。醤油とか紅ショウガとかドレッシングが整然と並べられているんで、自分のお好みで味を調節できるわけなんです。

珍しく後輩とすき家に行くことになりましてね、いろいろと会話しながら、さくっと牛丼をオーダー、その際に全く迷わずにオーダーすることで後輩にも、あ、こいつ剛の者だな、一生ついていこう、と思わせることができるのです。

で、さらにダメ押しで、牛丼が運ばれて来たら醤油を一瞥もせずにサッと取って牛丼にドバーっすよ。これで後輩もこいつ上級者かよってブルブルと震えます。で、ケモノのようにかっこむ!すっぺええ!

どうも間違えて、和風ドレッシング大量にかけたみたいで、信じられない味がしてるんですけど、後輩の手前、間違えたとカミングアウトするわけにはいきませんで、これが通の食べ方、みたいな顔して大量に和風ドレッシングかかった牛丼食べます。もう後輩、カレー食いながらブルブル震えてますよ。そう、お前の先輩は剛の者だぞ、かなり誇らしい気持ちです。

といことで言わせてもらいます。僕はすき家のこと、す、すっ、すっぺえええええ!って思ってます。和風ドレッシング間違えてかけるとすっぱい。

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